ウンベルト・サバ詩集 【新装版】
ウンベルト・サバ詩集 【新装版】 / 感想・レビュー
踊る猫
須賀敦子の訳を通して読むウンベルト・サバは実に柔らかい。写実的で、それでいて叙情的でもあるサバの世界に分け入ることは簡単だったが、その分読み飛ばしているところも多かったかもしれない。人生の苦味を語りそれでもなお前のめりに生きようと考えるサバの言葉は、イタリア文学や歴史に明るくない私にはピンと来ないものでもあったことは正直に認めたい。これから須賀敦子を読みウンガレッティなどのイタリアの詩人の作品を読み、そうやって手堅くアプローチして行こうと思った。スルメのような本だと思う。改めて読み直してから感想を書きたい
2018/05/14
shoko
ウンベルト・サバはイタリアの詩人(1883年-)。元の詩の音楽性は翻訳することで失われている・ないし日本語に多少の無理が生じていると思われ、翻訳の限界も感じたものの、好きな詩もいくつかあった。印象的な情景を描写し、そこに人生を投影していく詩が特に心に沁みた。また、それとは別に、須賀さんが胸に抱き締める、一番幸福だった時代の記憶(サバを亡き夫君とよく一緒に読み合っていたのだとか)が浮かび上がるようで、幸せで切ない気持ちになった。最後に須賀さんのエッセイ『トリエステの坂道』がついているのも嬉しい。
2022/03/25
林克也
「グイード」がよかった。ウンベルト・サバにこういう感性、そして女性に対するのとは違ったやさしい視点があるのがうれしかった。 さて、イタリアにはいろんな面で興味を持ってきたし、須賀さんの本も読んできたが、トリエステという街はなぜかあまり気にならなくてその位置すらも知らなかった。この詩集、そして巻末の須賀さんの「トリエステの坂道」を読んで俄然興味が湧いて来た。一度行ってみたい。
2017/07/08
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