猫に学ぶ――いかに良く生きるか
猫に学ぶ――いかに良く生きるか / 感想・レビュー
アキ
今年のベスト本候補。「いかに生きるかについて、われわれ人間は猫から何かを学び得るか」というテーマ。結論から言うと「猫のように生きるということは、自分が生きている人生以上に何も求めない」ということ。人間は意識を持ち、死への恐れから哲学を生み、宗教という物語に生きようとするが、人生の苦難を克服できていない。気晴らしという本質から目を背けて生きるのが精一杯。猫は無私の利己主義である。猫にとって人間から学ぶものは何もないが、人間は人間であることに伴う重荷を軽くするのにどうすればよいかを猫から学ぶことができる。
2022/04/26
miww
思った以上に「哲学」の内容で、猫に至るまでの部分は流し読みに気味になってしまったが、"哲学を必要としない"猫の生き方に学ぶ事は多い。倫理や道徳が存在しない猫の生き様、いいな。「猫はボスやリーダーは生み出さない。リーダーをもたないことが、人間に服従しない理由のひとつかもしれない。愛猫家は猫の中に自分自身を見出すから猫を愛するのではない、猫が自分とはあまりに違うから愛するのだ。」
2022/03/27
こまり
気付きの多い本だった。人は死の恐怖から逃れるため、宗教や哲学を生み出した。しかし人は今でもその恐怖から解放されていない。何千年もの間、人はきっと同じような事を考え悩み続けているのだろう。猫と人間の生き方の違いの説明はわかり易く結構面白かった。人は「生きる意味」を求めすぎているのかもしれない…自然体で猫のように生きられたらもっと楽になるのかも。猫の本も多く紹介されていて読みたいと思った。興味深く読んだ為か、知らない老哲学者とこの本について語っているという不思議な夢を見た。何を話したのかはもう忘れたけど。
2022/08/21
阿部義彦
みすず書房。英国の哲学者が語る猫と哲学そして人生論の本。『人間以外に孤独に耐えられない動物はいるのだろうか。少なくとも猫はそうではない。猫はその一生をのほとんどを満足感に満ちた孤独の中で過ごす。しかし時には人間と一緒に居る事を好み、人間が自分では解消出来ない病的な不安を消し去る事もある。』人間は死の恐怖から逃れるために人生を物語にするという対策を考え出した。しかし、猫は教える「人生は物語りではない」哲学者、著名人に触れた考察の中で、谷崎潤一郎そして、パトリシア・ハイスミスに関するものが良かった。再読必須
2023/03/12
Mark
ネコ派、イヌ派などという分類もあるようですが、自分はどちらにも属さないと思っています。しかし、言われてみると、文学者や哲学者にはネコ好きが多く、経営者や権力者はイヌを飼う傾向にある、というのは漱石などの例を見てもわかる気がします。また、上野の西郷さんがネコを抱いていたらきっと可笑しいでしょう。ネコは、本性を生きているから、人はそれに憧れるのかもしれない、と思わされました。どこかで使いたい哲学的な名句がたくさん見つかります。良い本でした。
2022/01/28
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