手塚治虫は「ジャングル大帝」にどんな思いを込めたのか:「ストーリーマンガ」の展開
手塚治虫は「ジャングル大帝」にどんな思いを込めたのか:「ストーリーマンガ」の展開 / 感想・レビュー
パトラッシュ
初めて全巻一気読みした手塚漫画が『ジャングル大帝』だ。それまでアトムなどを断片的に読んでいたが、友人宅でサンデー・コミックス版を見つけて夢中で読み耽った記憶が。当時は想像もしていなかったが、単行本化が何度もストップするなど数奇な運命に見舞われていたとは。手塚が加えた描き直しの違いや、作中に引用された大陸移動説の着想を得た経緯まで調べ上げていく。演劇好きの手塚らしく物語を脚本的に組み立てるなど、文学の生成論の研究方法を使ってストーリーマンガが成立するまでを跡付けるプロセスは漫画論を超えた知的興奮すら感じる。
2022/01/19
keroppi
手塚治虫「ジャングル大帝」へ影響を与えたであろう文献・映画の探究から、手塚治虫の構想ノート、連載時の作品、そして単行本化された時にどう変わっていったかをたどり、推敲を繰り返す手塚治虫の思考を推察する。そこから生まれた物語の悲劇性こそがストーリー漫画であると言えるのだろう。「ジャングル大帝」を読み返したくなってきた。
2022/07/07
スプリント
マンガの技術だけでなくストーリーマンガの礎にもなったことがよくわかる。
2022/01/16
みみりん
かなり専門的に「ジャングル大帝」を研究されている内容。表紙カバー裏に成立過程を詳論すると書かれているが、残されている構想ノートや粗筋ノートと出版された完成本との違いなども詳細に調べてある。
2021/12/12
むっち
ジャングル大帝オタクの本です。よく考えるとジャングル大帝をアニメから世代の私は、原作をきちんと読んでいないことに気付いた。だからストーリーの柱に、大陸移動を引き起こすほどの神秘の力を探る探検のドラマやそれが、レオの絶命につながるエピソードも全く知らなかった。ストーリー漫画というジャンルを築いた初めての作品というのも初見。何度も書き直しをされているという解説を知らなければ、「ジャングル大帝」をライオンキングにパクられた親子ライオンの物語で手塚作品の初期傑作以上の認識しかなかった。大変有意義な読書体験でした。
2022/02/06
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