覚醒と寂滅 (埴谷雄高対話集)
覚醒と寂滅 (埴谷雄高対話集) / 感想・レビュー
保山ひャン
埴谷雄高の対話集。ボレロ的老人饒舌症と思い違いお喋りを自戒して、未來社の対談シリーズをこれで最後とする、と後書きには書いてあった。「もっと暗黒を!」(栗坪良樹)、「推理小説の魅力」(丸谷才一、大岡昇平)、「作家埴谷雄高の形成」(柘植光彦)、「戦争下の転向と抵抗」(宮内勇、栗原幸夫)、「真実とフィクション」(井上光晴)収録。推理小説の対談では3人の選んだ外国と日本それぞれのベスト5も載っていて面白かった。埴谷雄高が最もオーソドックスな選択をしていた。(外国で『樽』、日本で『陰獣』をベスト1に選んでた)
2020/08/08
:*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)
83年11月栗坪良樹(聞き手)、80年6月「推理小説の魅力」丸谷才一・大岡昇平、81年7月埴谷氏幼少期体験・拓植光彦(聞き手)、80年2月宮内勇・栗原幸夫(聞き手)、81年11月井上光晴。安部公房はカフカの他に、ジュール・シュペルヴィエルの詩に影響を受け、いろんな物が活躍する「壁」を書いたと。死霊を「しれい」と読ませる理由「『しりょう』は日本語としては本当ですけれど、日本の怨霊は全部恨みで出てくるのね。僕の死霊は全部精神の究極へ向かって突進する。――以下話は続く」
2022/06/15
寛理
大岡昇平、丸谷才一との推理小説を巡る対談が収められている。これはとても面白いので読んだ方が良い。
2020/11/12
アレカヤシ
(だけど、ポーのイマジネーションとか、ブレイクのヴィジョンというものは、文学本来の特質であって、小型の歴史である私小説も、あるものの報告ですね。個人崇拝のために、それは結構なことですけれど、無限に向って突進する精神史のなかでは、自分の生きた軌跡の爪跡を地球の上に残そうなんてのは、また「小せえ、小せえ」ですね。いまの小説家が書いているのは自分の歴史で、それは過去の記録に過ぎない・・・ 人類はかくあるべしという、今までにないものを書いてこそ、初めて人間は人間を超えようとするんですよ)P34
2018/04/16
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