名を救う: 否定神学をめぐる複数の声 (ポイエーシス叢書 53)
名を救う: 否定神学をめぐる複数の声 (ポイエーシス叢書 53) / 感想・レビュー
ころこ
バロック期のドイツ人、アンゲルス・シレジウスという神秘宗教学詩人の詩の読解を通じて否定神学を考察しているようですが、はきりいって手に余ります。モノローグでは単なる否定神学として批判されますが、声の複数性に批判理論としての脱構築の可能性を探っているようです。東浩紀『存在論的郵便的』でも後半で同様の議論がありましたが、恐らく本書とその議論とは上手く対照関係がつくれません。
2020/10/07
内島菫
デリダの否定神学の解釈は、彼の言う「差延」と無関係ではないだろう。「差延」はいわば言語に備わる遊戯性であり、それは花々の上を飛び交う蝶のように、言葉は言葉でありながら言葉から逃げ、移ろい、繋がっていくイメージとしての在り様を示している。否定神学の措定する神を、否定を重ねることで語りえぬ最上位の他者として特別視するのではなく、そのままに「放下」しておくこと。つまり、否定神学が拠っている大前提の「神」という名づけ自体に「差延」を持ち込むこと。どのような他者とも対話できる複数の声の可能性を常に開いておくこと。
2016/09/16
兵頭 浩佑
«Sauf le nom» 、と一先ずつぶやいてみる。すると本書に書かれていた種々の"場"面が半ば自動的に、しかしある明確な意志をもって頭の中で重なり合っていくのが分かるだろう。
2023/04/24
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