湯けむり行脚 池内紀の温泉全書
湯けむり行脚 池内紀の温泉全書 / 感想・レビュー
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副題に全書と銘打たれているが、温泉地の由来や温泉の効能が詳しく書かれているわけではない。作者がかつて訪れた全国各地の99もの温泉地の雰囲気や感じたことを書いているエッセイ集である。それはそれで大したものだが、残念なのは1990年代を中心に20年以上前に書いたものがそのまま掲載されている点で、この本を読んで、では行ってみようと思っても、その当時の姿はおそらくもうないことだ。どうせ出すのなら、今の視点で当時を論じてもらわなければ読者にとって有益な読書とはならないと思う。あるのは訪れた温泉地への懐かしさだけだ。
2019/02/03
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