穂高の月 井上文学の背景となる自然観と思索が綴られたエッセー選集 (ヤマケイ文庫)
穂高の月 井上文学の背景となる自然観と思索が綴られたエッセー選集 (ヤマケイ文庫) / 感想・レビュー
gonta19
2016/7/18 喜久屋書店北神戸店にて購入。 2018/2/20〜2/26 「氷壁」の執筆の裏側や、氏と穂高との関わりなど、新聞・雑誌などへ発表したエッセイをまとめたもの。執筆時にはほとんど山の経験が無かったとは驚きであった。徳沢から横尾への梓川の美しさについては完全同意。
2018/02/26
chantal(シャンタール)
それまで登山などした事のなかった井上さんは「穂高で月見をしよう」と言う仲間の提案を受けて初めて穂高に登り、その魅力に囚われてしまった。「氷壁」を書くことになり、そのため何度か穂高へ登る。穂高にのみ登る。そこが面白い。穂高や梓川の美しさ、山の恐ろしさ、それでも穂高が好きで好きでたまらない井上さんの気持ちが伝わってくる。その後ヒマラヤにも行ってしまうのだが、シェルパの少年の話はジンとくる。あの高地に住む人々が神に祈らずには暮らせない、との考察に深くうなづく。その他郷里の伊豆、旅行した各地の川などのエッセイ。
2021/06/21
ジュール リブレ
心がささくれだったこの頃、清冽な山の風景に触れたいと思い手に取る。『氷壁』で穂高を描いた井上靖老が50を過ぎて穂高に招かれ、カエルの会なるグループで毎年訪れ、遭難手前まで追い込まれる。それでも穂高。山といえば穂高なのだ。私はまだ未踏だけれど。
2021/07/06
HANA
井上靖の随筆の中から山に関連したものを抜き出した一冊。幼年時代の伊豆山中の思い出から、月見をしに穂高に上ったのをきっかけに『氷壁』を書いた話、エベレスト山麓遊歩から日本の自然についてまでが美しい文章で目に浮かぶように語られている。登山の目的の一つに自然の美を愛でるという事がありそうだが、本書は伊豆山中に浮かぶ雲や穂高で見た荒涼たる月、梓川の清冽な流れやヒマラヤ山麓で祈りと共に生きる人というように、文章で見事にそれを表している。自分も一度穂高に上りたいな。著者は五十を越えて上ったんだから行けるかなあ。
2024/03/13
キムチ
標題から手に取ったものの、ひどく落胆。内容はこの3分の一でいいかと思う。ヤマケイだけに、穂高への氏の憧憬が感じるのは当然としても、同じことの繰り返し。出版編集する際にこう言ったことを見越して出版したとしたらあこぎかと思う。氏のファンには失礼だが氏の恋愛ものは好まないので、作品すべてのファンにはいいかな。感じるのは良くも悪くも「文士」で医学系の身内、親類にもアカデミズムが多いから香りは気高いのでたまにこういった文に触れるのも悪くない。氏が述懐する「素人の山登り」が何度も出るが登るのは穂高だけというのはへぇ~
2017/07/17
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