若き日の山 串田孫一 (ヤマケイ文庫)
若き日の山 串田孫一 (ヤマケイ文庫) / 感想・レビュー
つちのこ
初出は1955年に河出書房より。私が持つ著者のイメージは山の文学者としてあったが、巻末の履歴を見ると、早熟な登攀者の姿が浮かび上がる。わずか15歳で戦前の剣岳八ッ峰、小黒部谷。17歳で本書にも収録された谷川岳の堅炭岩KⅢの初登攀をしている。戦後は本業の東京外大教員以外に音楽、絵、詩作、映画製作等もした多彩で博識の人である。処女作となった本作はどこから読んでも肩がこらない文章で、夜が更けるのを忘れてその詩的世界にどっぷりと浸かれば、至福の一夜を過ごすこと請け合いである。
2020/01/16
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