野性伝説 羆風・飴色角と三本指 作:戸川幸夫 画:矢口高雄 (ヤマケイ文庫)
野性伝説 羆風・飴色角と三本指 作:戸川幸夫 画:矢口高雄 (ヤマケイ文庫) / 感想・レビュー
読特
六線沢への羆襲来。記録小説「羆嵐」に描かれた事件を今度はコミックで読む。絵になっている故、イメージは固定化はされてしまうが、想像はつきやすい。住民主観での物語の展開。創作部分の多さを感じるが、実感は持ちやすい。羆を擬人化しての思考描写。動物の感情理解は容易くない。当たらずとも、考えるきっかけにはなる。被害の悲しみ。自然に罪を被せても更生することはない。憎んでも報われることはない。そういうものだと知識をつける。学ぶことが共生につながる。羚羊対密猟者がテーマの作品がもう一遍収録。無駄な戦い。結末は虚しい。
2023/09/01
たまきら
熊問題に関する様々な本を読んできたが、綿密な調査に基づいて書かれる凄惨な事件、描写にうなってしまった。自然、野生動物。農耕民族集落と人間社会。何か一つに狂いが生じたせいで全てがドミノ倒しのように崩れていく…。妊婦の壮絶な叫びや劇画的描写にぞっとしたが、作者の視線はあくまで中立だ。生死の戦いにおいて、正義などない。ニホンカモシカの密猟の話でも、そこが奇妙なまでに潔い。真剣勝負と許し…。自分の立ち位置を定めるのは難しいが、考えさせられる内容だった。
2019/01/25
しぇん
KindleUnlimitedで。余りに有名なこの話は、漫画で見ると凄惨さが一段とまして読めました。羆側の視点でも書かれてるのは漫画オリジナルですが、良かったのではないかな?と。もう一編のマタギと野生の知恵比べは残酷に見えるのは、人間の傲慢さなんだろうなと
2023/04/24
さりぃ
#ヤマケイ文庫 野性伝説 羆風 #戸川幸夫 #矢口高雄 KindleUnlimitesdで読了。 怖かった。 羆、凄い。 でもお腹すいたら食べるよね。 ひどいけど、人間も一緒だ。 もはや、ホラー。
2019/11/05
makoto018
令和5年は熊出没が多く、特に秋田では人的被害がとても多い。作者は秋田出身で釣りキチ三平で有名な漫画家・矢口高雄。秋田の猟師・マタギを描いた作品もある。吉村昭「羆嵐」などで有名な、三毛別熊事件。明治時代の北海道で開拓民の村を襲い、死者8名を出した史上最悪の熊事件。戸川幸夫氏の原作を元に、矢口高雄が追加取材の上で描いた作品。熊側の視点のパートあったり、人間側の不十分な対応策が被害を拡大したと描かれる部分もあったりととても読み応えがあった。いたましい描写もあり、劇画すぎない矢口高雄のタッチがちょうどいいのかも。
2023/12/02
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