ヤマケイ文庫 おらが村
ヤマケイ文庫 おらが村 / 感想・レビュー
たまきら
著者のふるさとが描かれています。子供の頃ワクワクしながら読んだ釣りキチ三平。自分が東北地方に無条件な愛を感じるのも、あの頃があるからなのかもしれません。村はユートピアではありません。数々の問題を抱え、著者ですらこのお話で出てくる長男坊の恋愛をどうおさめるかで苦労したようです。けれども、笑いに満ち、おおらかなお父さんとどっしりしたお母さんがいるあたたかな家が、子供たちを支える姿がとても素敵でした。いま、秋田の豪雪地帯はどんな風景なんでしょうね。…面白かったけど、この人恋バナ書くべきじゃな~い。
2020/01/23
roatsu
本当に良い作品が復刊されたと思う。矢口先生の真骨頂たる堂々たる大作。素朴だが豊かで瑞々しい往時の山里の暮らしと、そこに生きる人々の心模様を封じ込めたが如き豊潤で、そして悲しくもある物語。読んでいて涙が流れる。令和の時代にこそ日本人が20世紀後半からの狂騒の歩みの中で何を喪失してきたのか、真剣に問い直すべきだろう。自由の代償で脆弱な個人へと孤立化が進み、不安定な存立基盤に慄く一方で、同じ命を持つ他人に対し無関心となり残忍な凶行すら平然と起こせる者が後を絶たなくなった今の日本の荒んだ世相にしみじみと思う。
2019/07/20
森林・米・畑
秋田の豪雪地帯、山奥の村のお話。こういう田舎には憧れさえする。しかし、住んでみないと分からない仲間意識や閉塞感があり、表面上見えない難しさもあると思う。高度経済成長期の東北の農村問題をある一家を通して表現。豪雪地帯の四季の移ろいを味わいながら悲しみも喜びも笑いも感じられる暖かい作品。絵が素晴らしい。
2022/01/12
剛腕伝説
著者自身の故郷をモデルにした、秋田県の限界集落の日常を描いた作品。東北地方の季節のうつろいや、農作業従事者の苦労、嫁不足等々。流石に動植物の描写が上手い。
2024/09/12
アメヲトコ
1973~75年連載、2019年文庫化。昭和30年代の著者の故郷・秋田県横手市の山村を舞台にした物語。丁寧に描かれた自然と集落の風景は美しく、一方で村社会特有の固陋さと閉塞感も描かれます。自分にはとても暮らせない世界だけれど。
2021/07/16
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