ヤマケイ文庫 K(ケイ)
ヤマケイ文庫 K(ケイ) / 感想・レビュー
breguet4194q
世界の名峰で、遭難者を救い出す山岳漫画です。フィクションとわかっているけど、主人公Kのような日本人がホントにいたら、カッコイイなと思いました。 巻末に特別寄稿している竹内洋岳は、全ジャイアンツ(8000メートル峰の全14座)を、日本人で初めて踏破した登山家(サミッターって言います)です。臆病な私には想像もできない極限状態ですが、その現場の心理を漫画で表現できるって、ホントに素晴らしいと思いました。
2021/10/03
マリリン
谷口氏の画は文庫版より大きいサイズがよい。一コマに一日費やす事もあるという画はまさに芸術作品だから。映画や文字よりリアルに状況が伝わってくるのではと思った。ストーリーも惹かれたが画力が圧巻。GAMOの解説「異才のひと 谷口ジロー」は心に沁みる。山岳もの、動物のもの以外は興味がないが、10月から開催されるという原画展は是非観たい。
2021/07/24
読特
「ビッグウィングに乗り逆立ちで岸壁を登る」「生唐辛でマイナス170度のドラゴンに耐え抜く」奇跡など然う然う起きない。金さえ払えば息子の命を助けてもらえると考える資産家。人の思考はそう単純ではない。「人間なんて所詮自然の力に比べれば弱いもの」ありふれた言葉。”所詮”はマンガ、されど著者の思いが込められた作品。遭難で同伴者を亡くし、素性を隠す。救出に勤しむに至った経緯。登る前の慎重な見極め。言葉になっていないこと。自然への畏敬。人が安全に暮らせているのは様々な偶然の織りなし。何を読み取るかはそれぞれ。
2021/12/17
阿部義彦
本の雑誌社のおすすめ文庫王国で文庫といえばヤマケイ文庫なのだ!と盛り上がってましたが地元の丸善でヤマケイ文庫のフェアをやってたのでつい買いました。山岳救助もので原作は遠崎史朗と言うことは「アストロ球団」の原作者ですね、大学では山岳部だったそうです、初めて知りました。谷口ジローさんの書く、冬山の荘厳なこと、そして自然の残酷なまでの険しさが余すところなく描かれてます。主人公のKの人物造形も素晴らしいです。人の命を預かる事、何らかの動機が無ければ梃子でも動かないKはどうやら日本人の様です。
2022/02/18
bb
傑作「神々の山嶺」に先立つ谷口ジロー作画の山岳マンガ。原作はアストロ球団等で知られる遠崎史朗。雪や岩肌の混じった山の表現は、神々〜とは違ってトーンよりも直接の筆触がやや目立つ感じがして、とにかくすばらしい。会話のリズムも両作品で違っていて、このテンポを生んでいたのは原作者なんだと気付かされた。ストーリーのリアリティレベルはゴルゴ13に近い雰囲気。いくつかの話では、超人的な動きで目的地点に到達したあと、そこからどうやって下山するの?みたいな冒険途中の場面で話が終わったりするのが気になった。
2022/09/30
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