ヤマケイ文庫 文豪山怪奇譚 山の怪談名作選
ヤマケイ文庫 文豪山怪奇譚 山の怪談名作選 / 感想・レビュー
sin
人は山に惑う!文人は山に眩み、杣人は山を畏れる。さて、葦平・河童飛ぶファンタシー。貢太郎・狐狸の業?綺堂・人の驕りが…。賢治・清明なる幻視。平四郎・鉄の調伏。菊地・判別し難い文体。槐多・戯言。蘆江・道行の怪。鏡花・亡母への憧憬。大宰・「おめえ、なにしに生きでるば。」自問自答か!?勘助・夢幻の世界。柳田・山人と云い少数民族を考察す果ては縄文人を視たか、案外現代風に当時のホームレスやも?
2021/07/04
たま
何気なく読み始めた選集だが、先日読んだ小松和彦『聖地と日本人』と繋がり面白かった。深い山を一人行くときの心許なさが怪談を生むとして、その背景には小松さんが描く山=霊場・異界という伝統的認識があるに違いない。雨月物語の白峯(崇徳院と西行)から説き起こす編者解説も、柳田国男「山人外伝資料」も参考になった。鏡花を初めとする11篇、いずれも面白いが、火野葦平、岡本綺堂の文章に驚き、村山槐多、中勘助のイメージに百閒を、太宰の津軽の山に石牟礼道子の熊本を思い、この分野に暗い私には興趣が尽きない。
2021/10/28
HaruNuevo
ヤマケイ文庫は山怪シリーズが秀逸なので期待していたが、これは自分の趣味には合わなかった 図書館で借りた本だったけど、書店でパラパラ捲ってたら間違いなく買わなかったろう
2022/08/08
くろばーちゃん
山を舞台にした、いろいろな作家の不思議な話が楽しめた。特に村山塊多の「鉄の童子」と平山蘆江の「鈴鹿峠の雨」と泉鏡花の「薬草取」と柳田國男の「山人外伝資料」がよかった。
2021/10/01
よみとも
文豪たちによる山の怪談・奇談を集めたアンソロジー。安定の岡本綺堂・泉鏡花は言わずもがな、火山に空飛ぶ河童という異色コラボの「千軒岳にて」(火野葦平)、死者の書を思い出した「河原坊」(宮沢賢治)、あの三行だけでおぞましい話に変貌する「魚服記」(太宰治)が印象的でした。さらに巻末の柳田國男「山人外伝資料」がよかった。山人は日本の先住民である、という説は学説としては未熟だったかもしれませんが、その語り口には文学的な想像力を掻き立てる熱があります。東雅夫さんの解説も読みごたえありました。
2024/04/01
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