文豪山怪奇譚 山の怪談名作選
文豪山怪奇譚 山の怪談名作選 / 感想・レビュー
HANA
文豪たちが山を舞台として描き出した数々の奇談。古典的な怪談から夢の中を彷徨うようなものまで何でもあり。有名作品が多く三分の二は既読であったが、いいものはやはり何度読み返してもいいものだ。面白く読めたのは柳田國男「山人外伝資料」や美しい文体に酔う鏡花「薬草取」、幻視を描いた宮沢賢治「河原坊」といった所。他にも神話を思い起こさせるような火野葦平「千軒岳にて」やストーリーテラーの面目躍如な岡本綺堂「くろん坊」もまた巻を置くことあたわず。山が異界であるという事を、華麗な文と共に思い出させてくれる一冊であった。
2016/02/07
そうたそ
★★☆☆☆ 山をテーマとした文豪たちの怪談作品を収めたアンソロジー。出版社が山と渓谷社というのもなるほど、という感じ。これをホラーアンソロジーと思って読むと、なかなかの肩透かしを喰らうのではないかと思う。「広義の怪談」というイメージで読むほうがいいかも。作家陣も知っている人と知らない人が半々。宮沢賢治、太宰治、岡本綺堂あたりの有名どころはやはり楽しく読めたものの、半分ほどはしっくりくるようなものではなく、結果としては自分の期待していた内容とは違ったというのが正直な所。着眼点が面白いアンソロジーではあるが。
2016/02/21
深青
文豪達が描いた山にまつわる怪奇なお話を集めたアンソロジー。読んだことがない人が多かったので、面白く興味深く読みました。怪談というよりも山に対する畏敬の念を、山の不思議で怪奇な1面を描いた小説が多かったかなと。ちいとばかし読みにくいと思うものもあったり文字を追うので精一杯だったり……というものもありました。そういうのも含めて面白かったです。これを機会にここで出会った文豪の他の作品も読んでみようと思います。
2016/03/07
YO)))
村山槐多の極めて絵画的な幻想譚「鉄の童子」、優しい鏡花の「薬草取」、柳田國男の山人論「山人外伝資料」など。 山を題材にしたものというだけで、形式・出来にかなりバラツキがあるが、それなりに楽しく読めた。 太宰の「魚服記」は澁澤龍彦編「変身のロマン」にも入っている。
2019/10/03
ひなきち
古文を真面目に勉強しておけば良かったな(・・;)行き(前半)はよいよい、帰り(後半)は難解…でぐるぐるループでしたが、やっと読了しました。ラストを飾るのは民俗学の父、柳田先生。先見の明で、山人について考察しています。私が特に印象に残ったのは、火野葦平、岡本綺堂、泉鏡花、太宰治でした。土に根をはるサツマイモのごとく、ずるずると掘り出しものの読みたい作家、作品が増えました。日本の言葉の美しさ、山の豊かさ、そして山怪の文化を絶やしてはならない、と改めて思いました。
2016/04/13
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