はじめて出会う生命倫理 (有斐閣アルマ)
はじめて出会う生命倫理 (有斐閣アルマ) / 感想・レビュー
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《生命倫理の教科書》はじめにの冒頭で現役医師であり小説家の海堂尊氏のお話が書かれています。そこからもう興味深く。初心者向けに少々やわらかい倫理学の書。読書中で難しい問題『?』が出てきた時にこの書に度々立ち返る。必ずしも答えてはくれないが、何かしらの思考に働いてくれています。それというのもまだまだ十分な議論をしつくす事が出来てない分野であるからである。例えば生命倫理とジェンダーへの取り組みも1990年代から徐々に議題とされ日が浅い、この視点は倫理に明らかに欠けている反省部分。まだ発展途上にある印象を持つ。
2022/08/22
カイエ
生殖医療の章を目当てに借りたが結局全部読んでしまった。生命倫理学で扱うテーマを簡潔に解説した良書。章ごとに筆者が違い、さらっと概観する章もあれば、熱を感じる章もある。印象に残ったのは気管切開を断ったALS患者Aさんの話。彼女は悲しいまま人生を終えたのだろうか。自己決定と一言で言っても、その選択は環境に左右される。選択肢はそれだけか?環境を社会を変えられるのではないか? それを考え続けるのが生命倫理学である。
2024/11/05
バーニング
有斐閣アルマのシリーズでは最も入門的な区分がされているが、思った以上に本格的な生命倫理入門といった感じの一冊になっている。トピックも出生前診断や代理出産といった生命の誕生にまつわるテーマや、ALSやホスピス、高齢者介護といったケアにまつわるテーマ、そしてエンハンスメントや軍事医学といった人体のデザインにまつわるテーマなど幅広く、どれも興味深く読んだ。
2022/06/10
kaku
生殖医療やドーピング、尊厳死など様々な生命倫理上の問題に言及。初心者用なので読みやすい。関係する法制度についても国内外にわたり紹介されていて、日本と世界のズレも知ることができる。
2014/07/27
じゃくお
仏教者として命を考えるなら、生命倫理についても学ばなくてはならない。仏教を通してしか命を考えていなかった私には本書からの発見が多かった。生命倫理について考える時には学際的な視点が必要だと述べられているので、私は浄土真宗を通して考えてみた。そうすると、現代仏教に課せられた大きな課題が浮き彫りになる。鎌倉時代においては浄土真宗が大衆の生老病死を救う手立てとして機能していたのだが、現代が抱える命の問題に対して浄土真宗が訴えられることは少ない。大乗菩薩道を歩むべき者は現代の生命とどう向き合えばよいのか。
2021/04/13
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