古事記のひみつ: 歴史書の成立 (歴史文化ライブラリー 229)
古事記のひみつ: 歴史書の成立 (歴史文化ライブラリー 229) / 感想・レビュー
moonanddai
地縁血縁ではなく、「国家」として経営していくために必要なものは「法」と「歴史」。つまり「律令」と「日本書」(という歴史書)が構想された。前者はできたが後者は、歴書として備えるべき紀、志、伝の内、成ったのが「紀」、つまり「日本書 紀」であると。で、古事記は(「序」は後世のものとして)それまで(7C後半以前)伝えらた(数ある)歴史の一つ。確かに(個人的に)昔からなぜ2つの歴史書が同時期にできたのか疑問でしたあ。外(海外)向けと内向けとか聞いたこともありましたが、今回なんとなく「構図」が見えてきました。
2020/12/11
かわかみ
専門的で学術的な図書だったが、興味深く読んだ。日本書紀と古事記は古代国家による官撰の二大史書というのが学校で教わる通説である。それに対して、日本書紀は「日本書」に対応して紀・志・伝が企図された内の紀の部分であり、古事記が官撰史書として企図された余地はないとする。私自身は両書をつまみ食い的に読んだことしかないので、出雲、ヤマトタケルなど記述内容に大きな相違があることを意識していなかった。常陸国風土記にある倭健天皇の伝承を含めて、日本書紀に集約・整理される以前には、いくつかの歴史が語られていたことがわかった。
2022/02/12
ikeikeikea
古事記と日本書紀はほぼ同時期に編纂が勧められた“国家公認”の史書であるにも関わらず、その性格がまるで正反対なのは何故か?と問われてきた。それに対する回答として著者は古事記の序文が信頼できない(偽書)だと説明する。つまり古事記は国家が作り出した史書ではないと言うことだ。一見突飛なようだが、先代旧事本紀等も序文が偽書であるので、穏当な発想であるし、こう考えれば、前述の矛盾も解消されるように思われる。また、欠史八代に古層が残っているとの指摘もスリリング。女系での継承関係が描かれているとの事だ。大変面白かった。
2021/05/01
たらら
日本書紀とはそもそも「日本書」の構想の下、その一部である「紀」にすぎず、「志」「伝」とそろった史書編纂の試みだった、というところから、古事記ははたして序文にあるとおりの史書だったのかをぐいぐい追い詰めていく。三浦氏の仕事の中ではスピンアウトにちかいものだが、圧倒的にオリジナルで面白い。古事記そのものを偽書とする立場も、序を偽書とする三浦氏の立場も本流ではなく異端視されているようだが(古層性の読み方も溝口氏とは180度異なる)、こちらに一票入れたい。
2010/08/25
讃壽鐵朗
新しい観点からの古事記解釈で面白かった
2013/12/11
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