魔女の1ダース: 正義と常識に冷や水を浴びせる13章
魔女の1ダース: 正義と常識に冷や水を浴びせる13章 / 感想・レビュー
よし
米原万里の伝説のエッセイ。題が洒落ている。「常識的には1ダースは12。魔女の世界では、13・忌み嫌われる数。その13章」題のごとく、 内容は、常識を打ち破る思考に溢れ、読むほどに脳が活性化してくる。特に2章はすごい。常識外の感想をもったシベリアの抑留体験者のエピソードやロシア観光客のラブホテルにまつわるエピソードを語る。そして、 「言葉が先か概念が先か」という 難解で抽象的な命題を、分かり易く具体的に解説してくれる。「悲劇が喜劇に転じる瞬間」では、「第三の眼の効用による落差が笑いを生む」という話も面白い。
2014/10/08
猫
図書館本。 自分が持つ文化や常識によって人は物事見る。自分とは違う文化や常識からは、同じ物事が全く違って見える。当たり前のことのようで、忘れがちなことだと思う。忘れてしまうほど、人は自分の蓄積してきた価値観に縛られるものなのだな。…それは、著者自身が日本人らしい自虐史観を(著者の世代・書かれた年代を見たら仕方ないことなのだろうけど)意図せずに散りばめていることで証明しているような。そういう思考がベースな戦争の話とあからさまなシモの話には閉口したけど、他は読みやすかった。
2016/03/11
くっきー
面白かった!常識っていったい何なんだろう。同じ国内であっても違いはたくさんあるのに、世界各国の人たちと分かり合うのって根本的に難しいのでは…。相手を理解しようとしても、自分の常識の上での言葉や行動になるから、その常識が相手にとっての非常識であったら、自分の真意を伝えるのって難しすぎる。それに伝わったとしても理解されないかもだし、難しいなぁ。
2014/08/29
Mayu
田丸公美子さんの著作に登場した方の本ということで、読んでみたのですが、期待していた以上に面白かった。内容的にはかなり高度なことが書かれているのに、難しく感じさせず、異文化理解を深める意欲が湧くと同時に、普遍的な価値観とはなんだろうと考えさせられます。3章のラスト、心の中に生じた屈託を言葉で言い当てることにより、私達はそれを例えば一つの感情として客観視できるけど、言葉の器からはみ出す部分は切り捨てることになるから、そのリスクを肝に銘じるべきであるという言葉が、通訳者らしい観点だと感じ、印象的でした。
2014/02/07
星落秋風五丈原
私たちの常識では1ダースといえば12。ところが、魔女の世界では「13」が1ダースなんだそうな。そう、この広い世界には、あなたの常識を超えた別の常識がまだまだあるんです。異文化間の橋渡し役、通訳をなりわいとする米原女史が、そんな超・常識の世界への水先案内をつとめるのがこの本です。大笑いしつつ読むうちに、言葉や文化というものの不思議さ、奥深さがよくわかりますよ。
2005/05/13
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