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都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト

都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト

都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト

作家
澁澤龍彦
出版社
立風書房
発売日
1990-08-01
ISBN
9784651710310
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都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト / 感想・レビュー

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コットン

最後のエッセイ集は澁澤さんらしい、表題作の入院中にもらった薬により幻覚症状が起こったり、『穴ノアル肉体ノコト』での首つり自殺がもうできないなど客観視しながらの面白がりかたがすがすがしい。また多くの追悼文や評論もあり、人柄の良さや彼らしい指摘(例えば「一般に、美術史上の公式の解釈なんてものは眉唾物で、てんで当てにならないのである。」)など。特に『私のバルチュス詣で』:バルチュスの少女について「性的な存在に達するまでの、意識と無意識のあいだにある少女を、手をかえ品をかえして描いているのである。」には深く同意!

2016/03/02

双海(ふたみ)

1987年8月5日、病院のベッドで読書中に頸動脈瘤が破裂、一瞬の死を遂げた澁澤さん。本書は最後のエッセイ集です。龍子さんの「あとがき」にこんなことが書かれています。「「延命のための無駄なこと、絶対にしないように。その時、龍子がはっきり云うんだよ」と薄いかすれる、息のような声で云われました。・・・その息のような言葉を聞いた途端、涙がどっと溢れ、「うん、わかった」と答えるのがやっとでした。」

2015/02/06

兎乃

『私は“もっと幾何学的精神を!”と書いた。幻想文学というと、なにか夢のような、 もやもやした雰囲気ものだと思いこんでるひとが、あまりにも多いように見受けられたからである。幾何学的精神は、また論理と構築性といいかえてよい。』と述べた澁澤氏が幻覚を見タと...。最後のエッセイ集。東大寺お水取りから、ボルヘス追悼、数々の書評。あとがきを書かれた龍子夫人。「龍子、来てごらん、今日も道がすごく綺麗だよ。」と。

2012/06/13

コウみん

澁澤龍彦の最後のエッセイ。 咽頭癌になり、声を失った頃の話から自分の全てを語った。 いろんな人たちが亡くなるのを見かけてきた澁澤で自分の死も直観していた時だが、自分的な哲学話ができて興味深かった。自分は首吊りはできなかったが、元妻が首吊り自殺してしまったことに皮肉な感じがした。

2022/03/10

Yasutaka Nishimoto

著者の死後に発行された、表題を含むエッセイ集。色々なところに書かれた文章を集めたものであるが、先に亡くなった人物への追悼文として書かれたものもあり、本書を読み進めるにつれ目眩のような揺らぎを感じる。基本的に、文学に対しての知識のない自分には、何が書かれているか分からない部分も多いが、それを含め、著者の思考に触れることができたのは良かった。

2016/11/12

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