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すみれの花の砂糖づけ―江國香織詩集

すみれの花の砂糖づけ―江國香織詩集

すみれの花の砂糖づけ―江國香織詩集

作家
江國香織
出版社
理論社
発売日
1999-11-01
ISBN
9784652071823
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すみれの花の砂糖づけ―江國香織詩集 / 感想・レビュー

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やすらぎ

夜空を見上げたとき、言葉はいらなかった。ぬくもりが伝わってきて、その隙間を埋めてくれた。月は雲に隠れて、絶対に触らない、そう思っていた手のひらにチョコレートを含ませて、少しずつ溶けていった。炎が揺れては消えそうになって。このまま灯っていても、燃え尽きてしまえば、ろうそくはかたちを失くしてしまうけど、すぐに消えさえすれば思い出としてまた灯ることもできる。ポケットの中には愛があって、信頼はいつまでも消えることはなく、浮かんだり沈んだりしながら、どこかでつながっている。江國香織さんのすみれ色に染まってしまった。

2024/06/23

masa@レビューお休み中

【再読】何度目だろうか。以前と感触がちがう。どこかよそよそしくて、お澄まししていた言葉の数々がリアルさをもって、差し迫ってくる。詩集なのだが、どこか寓話的で物語を孕んでいるような響きがある。少女時代の記憶、恋の切なさと思い出とうれしさ。結婚にまつわる些細なことや人生を揺るがす事象まで…。女性の視点というのは、かくも怖いものなのだろうか。複雑なことも、厄介なことも結論はあっさりとしている。男ならウジウジそれでいいのかと思うことも、女という生き物は僕らに理解できない行動をするのだから。

2017/03/04

seri

「すみれの花の砂糖づけを食べると 私はたちまち少女にもどる」江國さんの綴る言葉で織り成す独特の世界観、だいすきです。子どもの頃、周りの女の子たちは「生まれ変わったら男の子になりたい」って皆言っていたけど、私はどうしてもそう思えなかった。だって女の子じゃなくなったらきっと私じゃなくなっちゃう。でも、女って性は時々とっても面倒くさくて虚しくなる。江國さんの詩はそれを痛烈に描き出す。少女だった自分の記憶と共によみがえる。不思議な感覚を伴って。愛しく思える。この詩も、女というものも、記憶も、そして現在さえも。

2014/03/08

masa@レビューお休み中

甘いのかもしれない。でも、その甘さには苦さや塩辛さ、独特の香りも加味されている。まるですみれの花の砂糖づけのように…。ここには何か、一筋縄ではいかない女性性というものがあるのではないかと思ってしまう。純粋な何かではなく、不純物が入り混じった混沌とした感じ。透明なものに色のついたしずくを落とすような感じに似ているのかもしれない。美しさの中に影があり、汚らわしさの中に清さがある。江國香織の詩には、そんな相反する両面があるように思えるのだ。

2012/11/15

tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。

☆5.0   どっちみち  百年たてば  誰もいない  あたしもあなたも  あのひとも  //凝った言葉は使われていないのに 不思議とこころに響くそんな詩ばかりだった。 リフレイン&リズムのせいかな。 それとみえないなにかおおきなもののせいだな。 近頃無名の詩人の詩集をいくつか読んだが 殆ど響かなかった。だけどこの詩集は響いてくる。 無名で果てるか有名となって馳せるか、 ほんの僅かな目に見えない違いがこんなにも大きな天と地ほどの差となって現れる。

2020/11/22

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