ベルリン1933
ベルリン1933 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
現代ドイツの大きな転換点となった、1919年、1933年、1945年のそれぞれをタイトルに冠した3部作の2作目。ヒトラー台頭の年である。その前年まで民衆の支持は、社会民主党と共産党とが拮抗していた。ところが、左派には往往にしてあることなのだが、路線闘争と主導権争いから、この2党は互いに相手を毛嫌いしていた。今こそ大同団結が望まれる時にである。その間隙を衝いて登場してきたのがヒトラーのナチスだった。社会民主党も共産党もコミンテルンも、そしてブルジョアジーも等しくヒトラーを過小評価していた。どうせなにほどの⇒
2024/09/06
ケイ
1919第一次大戦の終わり、水兵たちは決起し、民衆も立ち上がった。そして1933年、暮らしは上向かず。民衆も政治も社会民主党と共産党で対立する中、極右が、ナチスがグングンとのびていく。ナチ党は共産党と手を結ぶフリをし、第一党にのし上がる。ユーゲントに参加する若者たち。鬱屈した者達が自らの権利を主張する時、他者に横柄になり、暴力をふるい出す理由となる事に、今のアメリカの一部の人の暴動を思い、強い政府への次第に強まる無力感に香港の若者を思った。
2020/06/09
鷺@みんさー
三部作の二冊目。ついに政権を掌握したヒトラー、ユダヤ人の労働者と彼女に関わる家族の日々を細かく丁寧に描く。子どもの目線から戦争を描くと、「日常に戦争が入り込むこと」が、いかにじわじわと、しかし押さえられない勢いで浸透してくるかがよくわかる。
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
ドイツ1933年。ナチス党が第1党となりヒトラーが首相になる。非常に非常に耳がいたい。「ヒトラーが権力を握る事に誰も反対できなかった。合法的だったから。ヒトラーが非合法的な事をするのをまっていたが、あいつの非合法的な行為はとっくに合法的になってしまっているんだ」その「合法的」行為の恐ろしさ。考えの合わない者を死ぬまで集団で暴行する。政権を握った途端に「合法的」に逮捕拷問する。ユダヤ人達の命も風前のともしび。胸が痛くなる。ナチスはたくさん票を集めた訳ではなく非ナチスが分裂して票が分散したせいだ。次を読む。
2020/06/30
Miyoshi Hirotaka
万能の絶対悪として描かれるナチとヒトラー。ところが、当時、共産党かナチか、今に続く社会民主党かの三択があった。これらのうちどの党を支持するかで、親族、職場、友人関係で反目や争いが起きていた。個人が転向するだけにはとどまらなかった。各党は非合法の私兵を有し、組織的な示威、ストライキ、暴力が日常だった。ソ連由来の共産主義と民族主義との間の争いが激化したが、政権党は争いを収拾できず、ヒトラーに権力を移譲。それにより、ナチの私兵だけが合法化。ストライキを忌避した産業界からも資金援助を受け、権力集中が一気に進んだ。
2019/09/13
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