自分にふさわしい場所
自分にふさわしい場所 / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
非常に分かりやすい言葉で、詩を書き続ける谷さんの詩集。ホンマタカシ氏によるモノクロの写真と余白多いページが印象的。読み手はその余白の中に、詩を読んで心の中に浮かんできた感情を流し込めるような気がする。レイモンド・カーヴァーの詩をことを書いた「日当たり」を読んで、谷さんがなぜ平易な言葉で書き続けるか分かるような気がした。レイモンド・チャンドラーの2つの小説のタイトルをうまく使った「チャンドラーの忠告」は、くすりと笑える詩で一番の好み。
2014/08/19
RYOyan
読み進めていくうちに、心のど真ん中にじわじわくる。今、ここに居て生きているということを、シンプルに奇跡だと言える。どこにでもありそうな光景が、もう、どこにもない瞬間だと気がついて、それを確信する。
2015/06/27
なつ
「市政の言葉でものを書くことの重要性」「日常の会話で使っている言葉、生活の中で口にしている言葉を使ってものを書くことの重要性」「『文学的』用語や『詩もどき』言語を使わないこと。言いたいことを正確に言いそれ以外の余計なことを言わないことが重要である」「ぼくの体温が君の体温を求めて両腕を伸ばす 抱きしめる君の身体の温もりに命の弱さと強さを感じながら」「十円玉を賽銭箱に投げ入れよいしょと鐘を鳴らし手を合わせ願い事をする 願い事を唱えている間に雲がゆっくり移動する 願い事が叶って君と二人ここにいるのかもしれない」
2015/09/21
u
言葉と写真。こういう本をなんて呼ぶのだろう。著者略歴によれば谷郁雄は詩人で、ここに書かれている言葉も詩になるんだろうけど、ふだん自分が読む詩とは少し違うような。たとえばもしこれが現代詩文庫だったら、僕は批判的に読んだような気がする。言葉がぬるいとかポエムとかいって。でもこの本で日記帳をめくるみたいに読んだら、心にすっと入ってきた。略歴には「ポエトリーリーディングに参加」ともあったけど、朗読を聞く感覚に近いのかもしれない。写真はホンマタカシ。頁をめくりながら、知らない街を歩いているような気分だった。
2017/12/30
TOMYTOMY
ここに言われる時間と生と死は写真と切っても離せない。 谷さんがというより、このホンマタカシさんの写真に何となく心を奪われてしまったのと、その何でも無さで終わることのない、その実感を掴みたくなった。
2019/04/22
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