日本という国 (よりみちパン!セ 14)
日本という国 (よりみちパン!セ 14) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
中学生が読める内容・文体を意識して書かれているが、もちろん大人でも、これほどにわかりやすく今の日本が置かれている政治的な状況を説明してもらえるのはありがたい。小熊氏は「日本という国」(ここでは近代国家としての日本)を考えるにあたって、明治維新と戦後日本の歩んだ道とを考察する。前半では福沢諭吉が良くも悪しくも、近代国家日本の思想的支柱となったこと、そして後半では「アメリカの家来」となり果てた日本の過去を検証し、未来をこれを読んだ若者たちに託すという構成。戦争で父母を亡くした少女のエピソードなど説得力に富む。
2016/12/17
へくとぱすかる
2006年。新版が出ているらしいので、そっちも読みたい。明治以来の変化、21世紀までの日本を俯瞰して捉えているのが、とても新鮮。福沢諭吉の議論は二分法的で、どちらかに決めなければならないように思わせるが、もっと別の道もあったのではないか。戦争の悲劇に収斂する流れを、どこかで止められなかったのだろうか。その先にいる今の日本のこれからも心配である。
2019/06/25
月讀命
江戸時代が終わり明治時代になり、明治維新の頃の政治や外交、人々のモノの考え方を教えてくれる良書である。中国をはじめ当時のアジア諸国と同じ轍を踏まない為には、国家自体を強くする事が必然であり、国民の教育が最も重要であった。福沢諭吉らのおかげで、日本も一流の国?になり得た変遷が読み取れる。 現代の閉塞した社会において、またアメリカ的個人主義の蔓延した中、当時の様に国家という単位でのものの考え方もある程度必要ではないかと思う。 国家を意識するのはオリンピックとワールドカップだけでは甚だ淋しい限りである。
2010/02/10
夜長月🌙@新潮部
現在の日本がどうやって今のような国(政治的や外交的な意味で)になったか解説しています。大きく影響しているのは明治維新と第二次世界大戦です。幕末に外圧により開国した日本の目指すべき国の姿は「侵略される国」か「侵略する国」の2択しかなかったのです。日本は侵略する国へと進みます。そして第二次世界大戦の敗戦によりアメリカ主導の日本ができあがりました。対外的な戦後賠償のあり方から軍備などあらゆる所でアメリカが関係しています。しかし、日本はアメリカ一辺倒ではなく世界の中で日本として独自の立場を示す時に来ています。
2021/02/09
シュシュ
わかりやすかった。2006年の本なので改訂版も読んでみたい。福沢諭吉は「最も恐るべきは貧にして智ある者」だと言っている。社会主義や労働運動を恐れていたのだ。国のために始まった義務教育ではあるが、農民の子に農民以外の道も開けるのだから、教育は子どもにとって将来の可能性を作るものだと改めて感じた。明治以降の日本について読んでいると正しいかどうかよりも、やはり国が決めることは政治的、打算的だということがわかった。個人よりも全体。アジアを解放するといいながら占領した日本。『世界の果ての子どもたち』を思い出した。→
2016/03/05
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