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ブルー

ブルー

ブルー

作家
久美沙織
出版社
理論社
発売日
2010-01-01
ISBN
9784652079645
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ブルー / 感想・レビュー

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エンリケ

夏空の青さに愁いを感じる女性二人の出会いから物語は始まる。世代の違う二人が惹かれ合った理由。きっとそれは共通する自己嫌悪。賢しらで傲慢故に許せない自分の感情。お互いにそれを晒け出し、批評し合う。そこから自分自身の深層心理に徐々に気付いていく。お話で描かれるのはたった一日の小旅行。でも濃厚に語り合う時間は確実に二人の心を解きほぐす。内省的なテーマだが、からっとした晴天の様に軽快な語り口調。近しい人の死を扱うが重い印象は受けない。生きる事に真面目で誠実な二人が起こした束の間の化学反応。爽やかな作風に好感。

2016/02/01

ここまま

中学生杏と大人の中年女性サヨコさんが出会って短い旅をするお話。現実ではありえないこと、これが小説の醍醐味。だれもが、人に吐き出したい心の痛みや理解されたい繊細な思いを持っている。相手が全くしがらみのない初対面の、しかもどこか共鳴し合える人だったら・・・こんな素敵な友情もなり立つかもしれない。あとがきによるとサヨコさんは著者久美沙織さんがモデル。では、賢く繊細な杏ちゃんの中には久美さんの中学生時代が投影されているかも。私も中学生の自分に会って、いろんな思いを吐き出させてあげたい、という妄想に浸りました(笑)

2014/07/31

tokotoko

初めての作家さん。中学生の杏ちゃんと不思議な大人のサヨコさんがふとしたことから出会い、時間を共に過ごす中で、お互いの心を通わせていき・・・というお話。杏ちゃんの観察眼と思考が深い!飄々としていながらも、大人の風格を漂わせるサヨコさんと絶妙のコンビ!でも、妙にリアルな空気も漂うなぁ・・・と思ってあとがきを読むと・・・すっきりします!哀しいけど、爽やかで、心も落ち着かせてくれて、じっくり考えさせてくれる、そんな一冊。ブルーのイメージにぴったりな気がします。

2013/11/23

nyanco

ある日突然訪れた大切な人の死。昨日まで元気だったのに…、明るく楽しい未来があったはずなのに、突然、その人生にピリオドが打たれる。家族や友人にとっても『死』は突然やってきて、大切な人を奪っていく。何故、あの人が?、どうして…?著者が実際に体験し、30年胸に滞らせていた想いが描くことによって向き合おうとした姿勢と、それを伝えたい、考えて欲しいという気持ちが伝わってきました。杏と一緒に旅させたことにより、大人世代からの一方的な押し付けになっていないのが良い。続→

2010/03/29

波多野七月

青い、ただ青い空と白い雲のカバーが目にしみる。家には帰りたくない、学校にも行きたい気分じゃない。そんな中学生の杏が図書館の前で出会った、サヨコさんという女性。サヨコさんの過去や、今はもういない大切な誰か。いつかは、誰もがそこを通り抜けて前へと向かって生きていく。中学生には思えないくらいにしっかりした主人公と、人生に迷ったサヨコさん。そんな二人が出会った、ある一日のかけがえのない出来事を切り取った青春小説。毎日を、「ちゃんと生きていこう」と思えてくる物語です。

2014/10/05

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