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倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)

倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)

倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)

作家
皆川博子
出版社
理論社
発売日
2007-11-01
ISBN
9784652086155
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倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!) / 感想・レビュー

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へくとぱすかる

カバーやタイトルから想像する世界とは、まったく違った戦争末期の日本を舞台に、物語は始まる。しかし謎めいたノート、白い本に女学生たちが書き込んでいく物語の中では、タイトルを彷彿させる世界がくりひろげられる。戦争はやがて終わるけれど、少女たちの大人への不信は消えない。読んで佳境に入っていくにつれて、作中世界と作中作の世界とが、見分けられなく、いや読み分けられなくなっていく。それが物語としての魅力かもしれない。ミステリとして、また女学生としての少女たちの物語として、読み応えのある小説だった。

2015/02/04

文庫フリーク@灯れ松明の火

『三つの選択肢がある。徹底的に尽くすか。ひたすら見つめ続けるか。死に至るまで苦痛を与えるか』どれも選べぬ者は・・。太平洋戦争末期〜戦後のミッションスクール。物資は乏しいがアカデミックなお嬢様学校。桜の園ならぬ蔓薔薇の園、お姉さまとS。アール・ヌーヴォー風の蔓薔薇模様で囲まれた『倒立する塔の殺人』とタイトルだけ冠した白紙のノート。出会った者は物語を書き継ぐ。『死なせてはならない。死んだら全てが終わる。我が恋もまた』空襲下のコーラス「美しく青きドナウ」アンリ・バルビュス『地獄』エゴン・シーレとムンク。→続

2012/03/18

sk4

戦時下のミッションスクールという舞台設定が耽美的な、文学、音楽、美術を愛する作者の魂のこもった学園ミステリ。 作りかけの作中作(リレー小説見たて)に犯人の意図が込められてるのですが、物語の半ばまではミステリーではなく、戦時中の女子生徒たちの清く正しく美しいノンフィクションかと思いました。 大空襲という死体も証拠も残らない舞台で、作中作『倒立する塔の殺人』の秘密を探り、物語の続きを書き加えることで犯人を追い詰める少女たち。 あ〜、なんとロマンチックな謎解き! 素晴らしかったです!

2013/10/30

カナン

舞台は大戦末期のミッションスクール、表題だけが書かれた優美な装丁の一冊の本、一人の少女の謎めいた死と、共に見つかった黒焦げの身元不明の死体。帯のコピーは「わたくしは、わたくしを裏切った相手を、狂わせるつもりでおります」。皆川女史の官能的な筆は万華鏡の如く読み手を惑い耽溺させ、事実と手記と虚構がくるくると花嵐のように乱舞する。幻想と耽美と、何時死ぬかも知れぬ時代背景が蔓薔薇となって複雑に絡み合い縺れ合い、気付けば何が夢か現か嘘か真か。ようこそ聡明で残酷な少女達の幾つものタブーの園へ。ジャスミンのお茶と共に。

2014/08/31

藤月はな(灯れ松明の火)

子供向けと思うなかれ。この本はまさしく、皆川博子作品でございます。儚げで純真無垢故に残酷で狡猾な少女達、紡がれた小説に隠された真実と嘘、物語が現実と融合する瞬間の陶酔の描写は白眉としか言いようがありません。「子供向けだから・・・」と躊躇っている大人も「素敵な本と出逢いたい」と思っているこれから大人になっていく子供たちも読んでもらいたい残酷で美しい物語。

2011/05/30

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