紫の結び: 源氏物語 (3)
紫の結び: 源氏物語 (3) / 感想・レビュー
mocha
3巻は「若菜」から「雲隠」まで。源氏の君の一生を通読できた。荻原規子さんが目指した通り、スピーディーにかつ物語としての面白さを感じとれる妙訳だった。雅な人たちの暮らしぶりや衣装の描写も美しく、平安朝の世界を堪能できた。いつか宇治十帖も訳してほしい。
2016/01/06
エンブレムT
『源氏物語』って結構シビアな展開だったんですねー。今までは「源氏の君って素敵~」と女性がウットリするための小説、もしくは「自分が光源氏だったら~」的な男性向け妄想小説のような印象を持っていたのですが。物語の真の値打ちは光源氏の晩年とは聞いておりましたが、「『若菜』以降は別の人が書いてるんだよ」と言われたら信じてしまいそうなくらい、物語としての印象が違ってきたのでした。女三の宮の降嫁に伴い、源氏の君の意に添わない流れが物語の中に生まれます。そこからの因果応報の展開と、余韻のある締め方には溜息がでました。
2014/10/03
まひる
光源氏の晩年。ここまで読み終えたのは初。時代の考え方、美徳はあるけれど、それにしてもずるい男ですよね。けれど、高貴で美しく生まれつき何も不自由しないようでいて、重い物を背負っていたのでしょう。荻原さんの後書きもあり、そういう面が少しわかるのがこの巻。次は世代交代です。
2020/01/17
ゆずきゃらめる*平安時代とお花♪
「紫の結び」もこれが最終巻♪〈光源氏〉が求めた高貴な紫の結び。最後は〈紫の上〉の血縁ともいう〈女三の宮〉。降嫁を受け入れたのは血縁だったからなのか。幼稚すぎる女人だけに事件を起こす。相手の柏木は【もののけ】にでも憑かれていたのだろうか。悲劇すぎる。〈光源氏〉は自分もしたことあるので誰も責められない。こうしてみると、〈光源氏〉とは完璧人間ではなかったのだろうな。本書は訳すると「源氏物語」が多少きれいごとのようにまとめてもあったかもしれないけれど、うっとうしさを感じさせなく読みやすかった。
2017/08/03
ひめありす@灯れ松明の火
RDGというキュートな未来志向のサーガを書きあげた荻原さんが、次に目指したのは日本最古の長編小説。いまだ多くの人の心を惹き付けてやまぬ藤色のサーガでした。泉水子の年の頃は須磨・明石くらいかな。親子の情は薄く、夫との情は深く、紫の上への愛情って、何か過不足が過ぎる。だからもしあの日光源氏に見染められなかったら、どういう一生を生きたのでしょうか。父親に引き取られて、多少肩身の狭い思いをしながらもそれなりの旦那さんと結婚して、任国に下ってみたりしながらも、割と平凡に幸せに、生きていたのかもしれないなと思いました
2014/02/28
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