中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて
中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて / 感想・レビュー
半木 糺
中沢という人物は多分に山師的なところがある。本来学者の責務は社会に対し有為な知見と方法論を提供することであるが、中沢は自らが社会を引っ張る「活動家」になろうとした節がある。いや、中沢だけではない。本書の島田氏もまたその意味では同罪である。90年代以降、社会学者や宗教学者がメディアにてさかんに「生き方論」を人々に唱えるようになったが、それはアカデミズムの範疇から外れるものである。そのような「学者のタレント化・キャラクター化」がオウムを生み出した一つの原因ではないだろうか。
2011/04/16
白義
中沢新一がオウムといかに関わり、またその思想がどう影響を及ぼしたかを分析した労作。中沢批判にとどまらず、宗教学者としていかに社会に責任を負い、果たすか、どう関わるかについても問題提起をしている。とりわけ虹の階梯のグルイズムを分析、批判した章は圧巻。一方で、中沢の伝記的部分や思想の内在的批判は今後の課題として残された感も。霊的次元を重視する思想がいかなる危険性を持つかについての、優れた警告書である
2012/03/08
さえきかずひこ
中沢新一のオウム事件に対するふるまいに問題があるのも確かだが、これは彼の現世否定を肯定する宗教者と世間に顔向けする宗教学者としての間での葛藤が露になったものだ。第四章、とくに162-165ページあたりの論理展開がひどい。できそこないの大学生の論文を読まされているような気分になる。中沢批判には価値があるが、島田の文章にもだいぶ問題がある。
2009/06/11
小鈴
島田との対話を避ける中沢新一へのラブレター。(感想の詳細は後日)
2011/04/22
taitaiyaki
中沢新一さんの『チベットのモーツアルト』80年代に読みました。オウムは私にとってはさけては通れない問題です。私の中には確かに中沢さんに同意する部分もあるから。これは、自分の問題として受け止めました。島田さんのオウム関連の本は他にも読みましたが、とても真摯に事件を分析していると思います。中沢さんとオウムの関係、グルイズムの危険性、現在のアーレフのおかれている状況など頭の中の整理に大変役立ちました。
2013/01/22
感想・レビューをもっと見る