日本史を精神分析する―自分を知るための史的唯幻論
日本史を精神分析する―自分を知るための史的唯幻論 / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
先日書店で『唯幻論始末記』という本を見掛け、その帯に「これが最後の本になるだろう」とあって心動かされた。岸田秀さんは今年86歳になる。私も十代の頃『ものぐさ精神分析』を夢中で読んだ。世界が違って見えた。しかしどの本も同工異曲なのと、こちらの知識も多少増してきて、胡散臭く思えて次第に離れた。しかしあの頃の自分を楽しませてくれた岸田秀が老いたのを知り、久しぶりに読みたいと思った。日本史を扱った本書、聞き手が『1976年のアントニオ猪木』の柳澤健で驚く。安倍総理は『日本国紀』より本書を読むべきだ。そんな内容だ。
2019/02/26
ムカルナス
心理学者が日本史を精神分析する。日本は元々は周辺の島々や大陸から流れ着いた敗者の寄せ集まりだったが、白村江の戦いで敗れた後、唐の脅威に備えて国家統一し精神的支柱として天皇を中心とする民族の物語を創る。元々敗者なので独裁を嫌い和を重んじる一方、劣等感から外国嫌いで内にこもりがち。文明を摂取する開国志向と独自文化を育てる鎖国志向が交互に表れる分裂症。敗北の恨みは明治維新の富国強兵や戦後の経済成長への努力にも繋がるが暴発すると日米開戦にもなる。日本軍の敗因も精神分析されていて興味深かった。
2018/08/13
月をみるもの
この本読んで「白村江って、そんなビッグイベントだったのかー」と初めて認識したのが、この頃の歴史を勉強しはじめるきっかけとなった。2年ぶりにあらためて読んでみたら「わかる、わたしにもわかるぞ!」とシャアのような状態になった。
2019/01/15
月をみるもの
40年前の「ものぐさ精神分析」と言ってることは基本的に一緒。それってすごいことだよな。
2017/03/12
日曜読書人
史的唯幻論からみた日本の歴史。参考になります。
2019/01/24
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