飢える私――ままならない心と体
飢える私――ままならない心と体 / 感想・レビュー
ケイ
完全に理解なんて出来ない。12歳の時、付き合っていた好きな男の子の自転車の後ろに乗っかって一緒に行った小屋。そこで複数の男の子にレイプされた。そのことは何十年も言わずにきた。それから、食べた。誰にも言わなかった。勉強していい子でいた。最難関の大学に行った。でも、逃げだす。その間にどんどん増え続けた体重...。彼女のふくよかで明るい外見の写真と作品の内容の乖離が不可解で、あとがきで彼女がレイプされていたことを知り、この作品を手に取った。理解されるために書いたのではないのだろう。さらけ出すことでの自らの解放。
2019/03/28
ネギっ子gen
【自分の体でいることを心地よく感じている人がはたしているだろうか?】(最大体重が262kgあった女性作家による)体について、飢えについての回顧録。原題「Hunge」は「anger」に通じ、邦訳「飢える」は「well」に通じるかなぁ……。共感箇所多し。<12歳のとき、私はレイプされ、それから私は食べて食べて食べて自分の体を要塞にした。私はめちゃくちゃで、それから成長し、あの酷い日から遠く離れて別の種類のめちゃくちゃになった――よく愛しよく愛され、よく生き人間らしく善くあるよう全力を尽くすひとりの女だ>と。⇒
2024/11/12
読書熊
どうやったら痩せるかではなく、痩せなくてはいけないという強迫観念を抱かされる社会を考える本。さらに著者は、子どもの頃にレイプされ、自分を守る鎧として食べ続け太り続けた。フェミニズムについても考える一助になる本でした。
2019/05/12
sujie-may
彼女の体験は彼女のもの、彼女の身体は彼女のもの。わたしが何か気の利いたことを言ってそれを奪ったりすることはできないし、そんなことは許されないと思った(この感じ、青い芝の会についての本を読んだ時と似た感じ)。 それでも、その体験をわたしたちに共有させてくれた。ロクサーヌ・ゲイに感謝します。
2019/03/12
原玉幸子
性暴力の被害に遭ったトラウマで異常な食欲になり、身長191㎝、体重262㎏になった著者の回顧録は、ボーヴォワール『第二の性』での「女性として生きること」に関わる、自身の内からと社会の目の外からの両方の「でぶへの嫌悪感」が主題です。書く動機も、返し表紙の「哀れみは、いらない」の文言に納得する締め括りもいいですが、TV番組の減量産業や、映画館や航空機の座席等での苦痛や、うまくいかない自身の恋愛や人間関係を引き合いに、延々と自己嫌悪・自己否定が続くのは、心穏やかに読めず、積極推奨出来ません。(●2019年・夏)
2020/04/09
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