詳注アリス 完全決定版
詳注アリス 完全決定版 / 感想・レビュー
roughfractus02
音声的言い回しや文字の組み替えや他のテクストをパロディ化する逸脱的な本文から成る2つの「アリス」は、一方で<出発-冒険-帰還>の定番物語に収まる。馴染みの物語パターンは各国語への翻訳を促し、英語本文の逸脱は他言語でその度合いを増す。本書を何度も注釈したガードナーはキャロルに関する自著への読者の感想まで注に忍ばせ、複数言語を並べてジャパウォッキーの詩を長々と注釈する。テニエルら挿絵画家の同じ場面の画の中に伝統的な仕草の図が紛れ混む。「アリス」を何度も訳し直した高山宏の邦訳は、翻訳自体が注釈なのだと主張する。
2020/10/11
ねむ
注釈本は初挑戦。図書館閉鎖前に借りて、ほぼ2か月かけてじりじりと読破しました。これは本来、買わないと読み切れない本です。アリスは子供の頃に好きだったな、ぐらいの軽い気持ちで読み始めましたが、途中からもう作者との意地の張り合い(?)みたいな感じに。ヴィクトリア朝の英語の使われ方やら社会状況やら、いろいろ勉強になりました(ほとんど忘れていくと思うけれど)。詩の翻訳って大変そうだなあと前々から思っていたけれど、アリスに関しては五重苦ぐらいの労力なのだとわかりました・・・。ほんとにこれは大変な訳業!
2020/05/28
はにまる
本編よりも膨大な量の注釈に度肝を抜かれる、マーティン・ガードナーによる注釈付きアリス。自分が以前読んだのは1980年の東京図書版だったが、ガードナーは1960年の初版から2010年に亡くなる直前まで注釈をアップデートし続け、死後完全版として出版されたのが本書。ガードナー本人だけでなく、キャロル&アリス研究家たちの様々な解釈を盛り込んだ大作。タイポグラフィで有名なネズミの尾はなしの新しい解釈だとか、ナンセンス詩「ジャバウォッキーの詩」の詳細解説とか、興味深い考察が多数。正に"考察が捗る"アリスの決定版。
2021/07/29
ともりぶ
本編より、テニエルのイラストが好きなアリスファンなので、注釈があればもっと理解できると思って何年ぶりかにアリスを読む。(佐々木マキさんイラスト版も平行読みしてたので、同じ訳者とはいえ違う訳で楽しめた。)こんなに訳のわからない詩ばかりだったろうか…。よく日本人に受け入れられたものだ。テニエルは刷り込みみたいなものだけど、この難解さがテニエルの決して可愛くはないイラストに合うのだ!ディズニーのアリスって詩の部分どうなってるのだろう。気になる!
2020/08/16
トモタン
削除された幻の「かつらをかぶった雀蜂」がどうしても気になって、分厚くて値段もしたのに本屋で衝動買いしてしまった。ちょうど「ふしぎの国の~」と「鏡の国の~」を読んでいるところだったので。そしてナント隅から隅まで特に注釈を読了。そして物語ってホント楽しいと思った。もし、キャロルに逢えたら、いろいろ質問したい。
2021/03/18
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