ひび割れた日常——人類学・文学・美学から考える
ひび割れた日常——人類学・文学・美学から考える / 感想・レビュー
けんとまん1007
三人の方によるリレーエッセイ。終わりの方の伊藤亜紗さんの中に「ひび割れた日常」の言葉がでてきて、納得。現在進行形である、コロナ禍における日常。まさに、ひび割れた状況がある。しかし、何故にひび割れたのか、その中で、どう営みを続けていくのか。改めて、先人の知恵や、物事の捉え方の大切さを実感。ひび割れの、最大の源は、人の言葉であるということ。腑に落ちる。
2021/10/20
Tenouji
経済社会のコロナ禍ではなく、自然の中の人間に対するコロナ禍を考える本。近代化で人類が整えてきたことが、大きく崩れることがある。全体性というか、それを取り戻すというのは、どういうことなんだろうかと、考えてしまった。
2021/06/27
takeapple
コロナ禍における日常についてのリレーエッセイ。文化人類学者、作家、美学者と言う組み合わせだが面白かった。ブックガイドとしても楽しめる。ウイルスは、高等生物の遺伝子が飛び出したもので、新型コロナウイルスの膜のように見える部分はヒトの細胞幕と言うのは驚き。
2020/11/29
jackbdc
コロナ禍をきっかけに人間と自然の関係を見つめ直す3人(奥野、伊藤、吉村)による交換日記的なリレーエッセイ。テーマは明示されず序盤はリレーが噛み合わず、IPPONグランプリ的なバラバラなネタの競演の様相であった。そんな中でも伊藤の観察力に引っ張られ、相互に話が呼応し始めて、最後には生命の全体性というテーマに収束して行くように感じたのは伊藤贔屓な私の偏見かもしれない。人と植物、人と動物、人とウィルス、人とヒトの関係性の見直しを試みる。最も印象に残ったのは伊藤の云う”足し算の時間”と”引き算の時間”の比較の話。
2021/12/01
imagine
奥野氏、伊藤氏の両名に惹かれて。だが吉村氏が入ることで非常に奥行きのあるリレーエッセイになっている。三者三様の得意分野から繰り出される多彩な視点。次々と提示されるテーマに対し、その論点に相応しい題材をすぐさま自分の引き出しから取り出す様子は、高度な知的遊戯だ。それでいて、相手を否定したり打ち負かそうとせず、共通項を次々と抽出。コロナ禍における人間の営みについて、新たな可能性を感じさせてもらった。
2021/01/29
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