【新装版】森の探偵——無人カメラがとらえた日本の自然
【新装版】森の探偵——無人カメラがとらえた日本の自然 / 感想・レビュー
ばんだねいっぺい
登山道に無人カメラを仕掛け野生動物の表情を撮影する中で見えてくる人と動物のあるべき姿。動物は人を見ているが、人は動物を見ていないということ。融雪材、登山小屋の床板、漆喰の壁、床下の硝石。そして、自然法則と加齢臭と弱者とヨーデル。
2021/08/29
ロア
終章の扉写真に目を瞠った。こんなに真っ直ぐで何メートルもある幹と、青々とした葉を茂らす杉の森を見るのは初めて。昔は電柱も杉の木で作られていたという話にも納得。無人カメラで撮影された、山奥や里山の自然の中で生活する動物たちの姿も当然初めて見るものばかりでしたが、中でも特に死んだ動物が自然に還っていく際には、思っていた以上に様々な生き物が関わっている事実に衝撃を受けました。人間は自然から奪うことしかせず、死んだ後も自然に何も還さない。そんな傲慢さに気が付きもせず、自分のことしか考えようとしない。
2021/11/13
みーちん
これまで40年以上のキャリアを持つ動物写真家の宮崎学さんが長野県を拠点に全国を駆け回り、無人カメラで撮りためてきた数々の「証拠写真」と培われた独自の視点。そこにキューレーターの小原正史さんが聞き手となって、現実の日本の自然の姿が展開されていく。二人の話は気楽に読めて話題も豊富なので純粋に読み物としても楽しいが、読んでいくうちに自分のイメージする野性動物や自然観がいかにズレたものであったか気付かされる。人によっては人生観や死生観が変わるかもしれない。そんな新たな視点や価値観が得られる本だと思う。
2024/09/23
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