文にあたる
文にあたる / 感想・レビュー
けんとまん1007
校正という仕事は、表面上は想像できるが、遥かにそれを凌ぐ広がりと奥深さを感じとれる。常日頃、何気なく本を読んでいるが、確かに、誤字を発見することもある。しかし、それ以上に、事実に即しているのかということも大きなこと。そこに気づくというか、確かめてみようというアンテナが凄い。そして、何よりも、一つ一つの文章・言葉に対する姿勢が素晴らしい。こんな感じで、いろいろな文章・言葉に接していきたいと切に思う。
2022/12/28
へくとぱすかる
仲間うちに配る冊子の、タイピングと校正を引き受けたことがある。有名な言葉を誤って引用していると判断して、訂正して印刷に回したら、「あれは自分なりに配慮した変更で」と後から言われ、しまった! と思ったが、あとの祭り。校正とは、文法や誤字の訂正などより、はるかに範囲の広い仕事であることをこの本で知って、改めてかつてのミスを思い出す。冒頭の話にあるように、ミスを正すのではなく、指摘するのだと。「ペーパームーン」の例も、その通りだと偶然知っているが、もし知らなかったら実際に映画を見るしかない。大変なことである。
2022/12/12
アキ
普段、本を読んでいて、「この本の校正は素晴らしかった」と言うことはない。しかし、その本を最も精読しているのは、翻訳者か校正を行った担当者だろう。ベテランの校正者によると「校正に向いていると思っている人こそ向いていない」という。その技術とは思い込みや先入観をいかに排するかである。年間7万点の本を3千社前後の出版社が刊行しているが、校正・校閲専門部署があるのはごく一部らしい。誤植があったら、「誤植の裏にどんな事情があったのかを想像する」ことが大人の読み方なのだと思う。因みに本書の校正は谷内麻恵さんだそうです。
2022/10/25
Kanonlicht
パンダのしっぽが白いという確証を探して、動物園のサイトを検索し、それでもまだ確実ではないと、図書館で図鑑をあさる。レシピ本に書かれた材料や切り方で本当にその料理が作れるかを真剣に検討する。ただ誤字脱字を探すだけではない校正という仕事の奥深さを知った。間違いを「拾う」ために校正者に求められるのは、まず「疑う」こと。たとえ作家の意図な言い回しだと思ったとしても、疑問が残るものは勇気を持って鉛筆で指摘を書き込む。出版において校正という仕事がいかに大切か。これから本を読むときは感謝して読みたいと思う。
2022/12/09
ネギっ子gen
【校正畏るべし】無類の本読みが、“本を読む仕事”という天職に出会い10余年。今日も原稿を繰り返し読み込み、書店や図書館を巡って丹念に資料と向き合う日々について綴る。絶賛推薦本!<一見「誤り」と見えても、調べてみないとわからないこと、調べても「誤り」とは断定しにくいことがある。校正を担当した人は力を尽したけれど残念ながらこぼしてしまったのか、構成の力の及ばないところで何らかの不幸な事故が起こってしまった結果なのか。本を見ただけではわからないのだから、少なくとも公の場では軽はずみなことをいうべきではない>。⇒
2023/03/05
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