ボクの満州―漫画家たちの敗戦体験
ボクの満州―漫画家たちの敗戦体験 / 感想・レビュー
かっぱ
【図書館】満州・中国からの引き揚げ組み漫画家たちによる体験談集。唯一、子供ではなく大人(引き揚げ時に29歳)だったのは上田トシコさんのみ。どこまでも続くコーリャン畑、地平線に沈む赤く大きな太陽。引き揚げ体験は過酷を極めるけど、大陸育ち特有の大らかさ(「メーファーズ」)が共通項。北見さんの父親はたった5日間軍服を着ただけで5年間のシベリア抑留。食べ物関係の仕事をしていたのでパン工場勤務になり食料に困ることが無く生き延びられた。高井さんの一歩間違えれば中国残留孤児になっていたかも知れないという言葉は切実。
2019/05/27
かおりんご
著者自身も書かれていますが、もっと早い時期に本にしていただきたかったです。有名な漫画家さんたちの中にも、満州からの引揚者がこんなにいるとは!それほど、当時の日本人にとっては国土の一部だったのですね。引き揚げは、大変だったと聞きます。ご存命なうちに、色々と書き記しておいて欲しいです。
2019/06/20
みんにゃりん
せっかく漫画家が9人も集まっているのに、まさか文章を読むとは思わなかった。全編漫画プリーズ!^^; 上田とし子さんの部分が読みたくて借りたようなものですが、「フイチン再見」で描かれているのと同じことが記されておりました。上田とし子さんもそうだけど、ほかの漫画家さんにしても、意外と現地の人に守られて引き上げたというエピソードが多く悲惨さというのはあまり感じられなかった。この本は今から20年前に戦後50年の節目として出版されたもの。間もなく戦後70年。20年前ならもっといろいろ語り部がいたんだろうなぁと思う。
2015/08/09
ナハチガル
貴重な体験談に個性豊かなイラストが添えられ、読みごたえがあった。引揚者には独特のおおらかさがある、という話が何度か出て来るように、大陸で子供時代を過ごした人には、島国育ちにはない要素が何かしらあるのかもしれない。たくさんの死体を目にしたり、手榴弾の使い方を教えられたり、飢えと死の恐怖にさらされたり、帰国後も差別やいじめに遭いながらも、皆さんどこかスコンと抜けているのだ。残留孤児を描いた『大地の子』の重さとは対照的だ。欲を言えば、せっかく漫画家さんが集まっているので、せめてエッセイ漫画にしてほしかった。A。
2022/02/10
kenitirokikuti
図書館にて。1995年刊行。上田トシコだけ大正6年(1917)と年長だが、その他はみな昭和10年代前半の生まれ。赤塚北見石子順はS10、ちばS14。座談会にて本題と関係ない手塚の話題が出るのは亡くなってまだそんなに経ってないからだな。この面々が引き揚げについて書くのはこれが初めてだったそうな。80年代前半のコロコロで、畑正憲・川崎のぼる『ムツゴロウが征く』で満洲の話をやってたので、自分は意外に感じたのだけど、第1回「残留孤児訪日調査団」が1981年。あの頃の話だな。
2019/08/28
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