黒い兄弟 下
黒い兄弟 下 / 感想・レビュー
Miyoshi Hirotaka
近代が暴力の対象としたのは知識格差。文字を持たない民族は、極東、豪州、北米大陸で淘汰された。同じ社会の中でも読み書きができなければ、暴虐の嵐の中を生き抜く試練に会った。「七つまでは神のうち」というように洋の東西を問わず、七歳以降は労働力とされたからだ。子供が労働から解放されたのはほんの最近。松下幸之助が9歳で奉公に出されたように丁稚奉公は戦前のわが国の伝統的な採用・育成システムだった。それに代替したのが、大学進学率約6割に達した高等教育だが、機能していなければ、わが子らもわが国も暴虐と淘汰の憂き目を見る。
2016/08/15
Akihiro Nishio
後半は序盤早々に相棒が秘密を打ち明けることで物語のゴールが設定される。その後、団結、決闘、和解、永久の別れなどを経て、クライマックスのミラノ脱出へ。後半はスピード感があって良いね。ラストは、故郷を見せたい人がいるという設定のため、上巻での故郷のたっぷり描写が活きて、「ああ、ようやく帰ってきたな」と感慨深い。名作である。しかし、ミラノにはロクな大人がいない。中世の大都市って、こんなに心が荒んでいたのかな。アニメはだいぶ違う話になっているようなので気になる。中盤のヒロインのその後については触れられず。
2018/08/23
はるき
大人の理不尽な虐待に負けない強い子どもたちの心に胸が熱くなる。そして、情けない大人たちに胸が悪くなる。怒涛の展開で一応のハッピーエンドを迎えるが、かなり切ない。現代へも通じる教訓を多く含んだ名作である。
2016/04/02
千尋
世界名作劇場『ロミオの青い空』の原作*ジョルジョの親友・アルフレドの死から物語は怒涛の展開に。ジョルジョが窒息死する寸前に医師・カセラ先生に出会い助けて貰います・・先生の提案により、ジョルジョは仲間達と共にスイスまで逃亡します*子供たちの過酷な労働や虐待・差別、作者が実際に体験したナチスからスイスへの亡命をシンクロしている内容になっており・・本当の人間の自由・平和について考えさせられる一冊でした**
2011/02/23
アイアイ
虐待が酷い、いや殺人未遂の連続。ペットだって大事に扱われた時代に、家畜以下の扱いを受けるジョルジョたち。悪役の腐り方も凄まじい。ラストを知っているから安心して読めるはずが、途中で何度も(精神的に)つらくてページを閉じた。読破するたびに涙する。今回もすごく目から出た。これほどまでに感情移入しすぎてエネルギーを使う作品って他にないと思う。胸が、いっぱいです。▽図書館
2014/09/10
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