2ひきのいけないアリ
2ひきのいけないアリ / 感想・レビュー
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
仲間の一匹が人間の家から持ち帰った〈クリスタル〉を女王アリはとても気に入ったので、アリ達は採掘の旅に出た。目的地に到着しクリスタルを運び出すことに成功したが、仲間と離れた2匹はお腹いっばいごちそうを食べ、眠ってしまった。そして、とんでもない出来事に巻き込まれてしまう……。翻訳家としての村上春樹氏の仕事がとても好き。原題TWO BAD ANTS.別の訳者で読んだ『くいしんぼうのあり』に比べると、抑制された文体、原文に忠実な訳がとても魅力的。〈絵本好きの大人〉にはとても得難い存在だと思う。2004年9月初版。
2015/03/07
ムッネニーク
94冊目『2ひきのいけないアリ』(クリス・ヴァン・オールズバーグ 著、村上春樹 訳、2004年9月、あすなろ書房) 欲張りな2匹のアリに次々と降り掛かる災難をコミカルかつ意地悪に描く。 オールズバーグと言えば幻想的なタッチのイラストをパステルカラー、またはセピアカラーを用いて描く作家という印象があるが、本作の作風はそれとはまるで違い、あたかもコミックの様。マンガチックなアリたちの挙動が愛らしい。 〈二ひきは、クリスタルのシャワーにまじって落下し、沸きたつ茶色の池の中にどぶんと落ちました〉
2024/07/12
とよぽん
アリの世界も大変だ。絵に派手さはないけれど、アリの視点が面白いし、その先が気になってページをめくる高揚感は思いがけず高かった。自分でも意外なほどワクワクした絵本。結末は、ちょっとあっさりしていた感じではあったが・・・。
2023/02/27
キジネコ
アリは働き者である、という先入観はアリたちにとって迷惑でしょうか?1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常(ヒヤリ・ハット)が存在するというハインリッヒの法則ていう労働災害に関する見識があるあやと聞いとります。女王アリの鶴の、いや蟻の一声で働きアリ達は女王の大好物のクリスタル?を手に入れる危険な隊列を組んで未開の地を進みます。目的の地に「ああ」と頷き「クリスタル」の正体になる程と納得します。で表題のいけないアリが起こす不心得と「ヒヤリハット」その顛末に、うふふの御話でした。
2023/10/13
tomi
村上春樹訳の絵本。女王様のために美味しい「クリスタル」を求めて旅に出る働きアリたち。しかし2匹のアリは怠けたばかりに数々の受難が降りかかる… 小さなアリにとってはキッチンの砂糖を獲りに行くのも大冒険だ。アリ視点の絵が面白く、装幀も含めておしゃれな一冊。
2016/08/14
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