死をみつめて (中学生までに読んでおきたい哲学 6)
死をみつめて (中学生までに読んでおきたい哲学 6) / 感想・レビュー
KAZOO
この本には死に関する18のエッセイ・物語が収められています。向田邦子さんの「ねずみ花火」は題名の様な思い出として突然いなくなってしまう人のことを語っています。神谷美恵子さんの「自殺と人間の生きがい」は遺書としての視点から自殺について説明されています。高見順の「不思議なサーカス」は散文詩で病院に入院しているときに感じたことを書いています。小松左京の「仁科氏の装置」は人生の反省をかけて作った装置のことを皮肉な感じで示しています。どれも結構中学生には難しい気がしました。
2022/09/14
Take@磨穿鉄靴
「中学生までに読んでおきたい哲学」というタイトルから(つまり対象は小学生)もっと平易な内容かと油断していたが大人でも十分考えさせられる内容であったと私は感じた。河合隼雄氏や吉村昭氏、伊丹十三に阿佐田哲也(色川武大でもなく)など本書で紹介されている作品も元々は小学生をターゲットにしたものでは当然ない。一番印象に残ったものは池田晶子氏の話。死を教える側も死について本当には知らないということ。いろんな見方考え方があっても唯一無二の正解などないという話。もっともだと思う。★★★☆☆
2022/05/29
なおさん
「死について」松田道雄さん。信仰を持っ人の方が心穏やかに死ねる。しかし著者自身は信仰を持とうとは思わない。なぜなら、信仰を持つ人とは、殉教者のようにいかなる状況でも他者のために働けることができる人を指すのであり、自分にはとてもまねができない、と。「これが、安楽に死にたいとは思いはするが、信仰を持とうとしない理由である。」私も死ぬ際はもだえ苦しむに違いない。
2022/01/11
杏子
死について考える巻。生きている者にとって死はみな平等に訪れるもの。それをわかっていながら、普段は忘れたように思っているけれど。ひとたびそれに気づいてしまうと、死はとてつもなく恐ろしいもの、自分という存在が無になってしまうことの恐怖である。この巻に集められた書き手たちはみな亡くなった方ばかりだ。すでにこの世には存在していない人の書き残した言葉は、その一言一言に重みを感じずにいられない。このシリーズが対象としている中高生たちにとっては、死はまだまだ遠い先の未来にあるもの=現実的でないものとして、こういう書物を
2013/05/12
kaya
岸本英夫氏『わが生死観』が大変興味深かった。彼は癌を患い、長く苦しい闘病生活を送った。特定の信仰を持たない彼は言う、死後の世界などない、極楽浄土も天国もない、と。「死というのは別の実体であって、これが生命に置き換わるのではない。ただ単に、実体である生命がなくなるというだけのことである」死によって自分という意識は消滅し、残るは虚無のみ、と考えるのは何とも心もとなく、恐ろしいことだ。だって、それじゃああんまりにも救いがないじゃないか。しかし、岸本氏は粛々と受け入れる。彼の生死観は素朴だが、力強い。
2016/02/27
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