昔咄きりがみ桃太郎
昔咄きりがみ桃太郎 / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
『安野光雅 ものがたり絵本展』にて拝見。これまた見事なものであった。絵のみならず文も切り絵。なので若干読み難い面もあるが、安野光雅、才能の塊である。切り絵のシルエットで見るおじいさんとおばあさんの姿はシャープで、カッコいいおじいさんおばあさんであった。桃太郎が犬・猿・雉を家来にしていく際はユーモアがあって良い。鬼ヶ島に到着する前に、桃太郎が犬猿雉に訓示を垂れる。「年寄りや女子供の鬼を攻撃するな」と言う天晴れな訓示。桃から生まれても偉い奴は偉い。生まれた所や皮膚や目の色で、一体この僕の何が解るというのだ。
2016/12/08
shoko
ちょっと前にももたろうの読み比べをしたんだけど、桃太郎×安野光雅があったことに気づいて慌てて紐解く。/こちらは全編切り絵で構成されている。安野光雅は常に新しい表現方法にチャレンジしているような印象があって、表現者として格好いいなと思う。口上のあと「それじゃ これから いまはむかしの はなしするから べんじょにいくものは いまのうちにいけ」から始まる、ユーモアいっぱいに桃太郎を語る一冊。切り絵であるが故の読みにくさもちょっとあるけど、読んだ中では一番クスクス笑いながら読めた!
2023/05/13
bluemint
安野光雅氏が亡くなり、芸術新潮で特集されていた。その中で紹介されていた本のうちの一冊。全編切り絵で構成されている。語り口がなんといっても素晴らしい。「かわのむこうのほうから おおきなももが ひょくり ひょくりときたじゃないの おばあさんはこちらへこいと したじゃないの ももは しょくぶつだから きこえないよ」桃太郎が犬、猿、雉を集めて戦いの前に訓示する。老人や婦人、子供、病気の鬼を攻めるな!何とも素敵じゃないの。文まで切り絵になっていて、じっくり読むと楽しい。でもすぐ読み終わる。
2021/09/15
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