ユゴーの不思議な発明
ユゴーの不思議な発明 / 感想・レビュー
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
モノクロで描かれた約160点のイラストが映画のコマ割りのように配され、500頁超の大著を一気に読み切る事ができた。迷宮のように入り組んだ駅舎の一室に住む12歳の少年。彼には望みがあった。父の形見のからくり人形を動くようにする事。時計職人の父が博物館から譲り受け、コツコツと修理を続けていた。父が果たせなかった遺志を引き継ぎ、ぜんまい仕掛けの人形を動かす。それには少年の運命を変える秘密が隠されていた……。1930年代のパリを舞台に描かれる、史実をもとにした幻想的な物語。静かな感動が広がる。2008年1月初版。
2016/04/18
かおりんご
児童書。分厚さを感じさせない、とっても不思議な本でした。絵が幻想的で、絵本の要素満載。でも、内容はしっかりしている。実在の映画監督をモチーフに書かれた本。うまく説明できないけれど、読んで損はなし。
2014/10/19
雪うさぎ
ページを開いたとたん、暗闇の中、スクリーンを見ているような感覚に陥る。そこに映し出されたのは、伝説の映画人ジョルジュ・メリエスの物語。この本自体が、まるでサイレント映画のようだ。絵と字幕とがテンポよく現れ、ページを捲る手が止まらない。登場人物の瞳は皆、好奇心に揺らめいていて、私をさらに物語に引き込む。ぜんまい仕掛けの人形が158枚の絵を描き、マジシャンがそのからくりを解き明かしていく。おもしろい。上映が終わっても、私はその凄さに圧倒されて、呆然としたまま席を立てない。こんな本ちょっと知らない。
2015/01/24
mya*
先だって公開された映画の原作。世話をしてくれていた時計係のおじさんが死んでしまい孤独になってしまった少年の不思議な冒険物語。なによりも線画がお見事でした。かつて映画が娯楽として全盛だった時代と関連する謎を探るくだりはややミステリっぽくもあります。不遇の少年がたどり着く夢のあるラスト、タイトルの意味もここでようやくわかりました(笑)なんと実在したアイテムからインスパイアされてできた物語というのも、興味深かったです。
2012/06/05
スプーン
破格のボリュームで押してくる絵本だが、出来は平凡である。仏映画に材を取りながら、ありがちな米国風アドベンチャー物語になっている点が、平凡であり、安易であり、悪質なのである。アメリカ人は想像力のネジを巻きなおす所から始めなければならない。
2019/06/08
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