桃の花 (サンサンス絵本シリーズ)
桃の花 (サンサンス絵本シリーズ) / 感想・レビュー
HIRO1970
⭐️⭐️⭐️非常に薄い本です。立松さんの夢の中のような心象風景が文となり、それに呼応して山中さんの淡い絵が全ページに書かれた絵本。失ってしまった記憶の中にだけある風景を夢の中の道を辿る時には唯一訪ずれる事が可能となりますが、主人公はどこかでこれは有り得ないことだと分かっており、幼き日の自分や若き日の母、生家や当時の町並み家並みが郷愁をさそう作品でした。私も夢の中で似たような体験をする事があるので違和感なく受け入れられるお話でした。桃の木をはじめ季節を感じる花や木や野菜がもたらす淡い色彩が柔らかな作品です。
2016/01/17
あつひめ
立松さん初読み。とてもとても薄い1冊。でもその薄さを侮ってはいけない。とても熱いものが流れているから。帯や挿絵に描かれている山中さんの絵が立松さんの紡ぎだす言葉に花を添えている。最愛の母の病。大人になってから、なかなか二人の時間は持つことができなかったなかでの付添いの晩。目の前に広がる懐かしい風景。もしかしたら意識のない母も同じ風景を眺め歩き感じていたかもしれない。母の温もりを感じる桃の花。夢の世界から立ち去ったら・・・そうか・・・すべては記憶の中からも消え去りおぼろげな思い出として風化していくのかも。
2013/01/26
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