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ボタニカル

ボタニカル

ボタニカル

作家
有間カオル
今日マチ子
出版社
一迅社
発売日
2016-05-20
ISBN
9784758048248
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ボタニカル / 感想・レビュー

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jam

植物に寄生される病(ボタニカル病)を患う人たちと樹木医芙蓉、心療内科医朝比奈を巡る物語。植物に寄生ということで想起したのは「冬虫夏草」である。梨木香歩はこのタイトルで人と人成らざるものの「あわい」を描いた。本作も、終始「曖昧」である。物語の終わりは禍にも似た奇病の意味を象徴するが、一貫する切なさの受口は、それが救いでもあることだ。なぜなら、寄生とは拠りどころでもあり、それは共生とか共存という言葉にも置き換えられ、求め求められることと同義ともいえる。そして世界は、そうした均衡のうえに存在している。

2017/01/17

優愛

植物は素直で、寄り添うだけ。感情に左右され形成や種類を代えても尚隙間を埋めてくれるボタニカルの存在を、例え病だとしても私はそれを否定できない。言葉と同じ分だけ意味の重みや隠しきれない感情を持ち合わせているならば。森の中で迷った末に示される真実と幻想。摩訶不思議で繊細な世界観に魅了されながら正確な判断はきっと出来ない。それでも人は人の間で生きていく、それが動かぬ真実ならば。どこまでも優しい植物の緩やかな縛りに憧れを抱き、紡いだ絆に確かに胸が締め付けられた。人々は幻覚という緑に溶けて、今日もまた愛に溺れてる。

2016/07/02

まこみん

植物が寄生する病、ボタニカル病。樹木医の芙蓉は春夏秋冬4つの話を通して、その奇妙な病の持ち主と向き合い、治療の道を心療内科医の朝比奈と共に探す。だが芙蓉の語りによって話は次第に不穏な色彩を放ち、読者を幻惑へ…ラストは全容が明かされて仄かに淋しく切ない。秋の話は単独でも「世にも奇妙な…」にも成りそう。 ソフトカバーのこの本はこの話にぴったりな表紙イラストと、全ページに施された花々の薄い挿し絵が素敵。かなりオススメです。

2016/06/30

まろんぱぱ♪ 

何ともはっきりしない読後巻。樹木医の芙蓉と阿片芥子の戦い(戦闘ではないですね)。嫌いじゃないし面白いんですが、読後感が惑うんです。

2016/06/20

Akihiko @ VL

有間カオルさん2冊目の読了。『魔法使いのハーブティー』同様、こちらも良作だった。『魔法使い〜』では女の子の可愛さが目立っていたが、こちらは明らかに"女性"を意識して描いていることが見て取れる。そういう意味では少し残念な気もするが…。それは置いといて、随分とミステリも多様化してきたなと感じた。医療、昆虫、銀行など、様々な形態のミステリが草の根を分けて誕生する中、本作は植物ミステリときた。ミステリ的には若干弱い気もしたが、オリジナリティの見せ場としては充分だろう。今後もこの新ジャンルを突き詰めていって欲しい。

2018/04/17

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