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破天の剣

破天の剣

破天の剣

作家
天野純希
出版社
角川春樹事務所
発売日
2012-12-03
ISBN
9784758412063
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破天の剣 / 感想・レビュー

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とん大西

「あの男、まぎれもなく天才」-天下人秀吉が軍神の如く恐れた男-島津家久。島津4兄弟の末弟にして無敵の戦略家。儚くも痛快な物語でした。島津の話はお初ながら天野作品はこれで3作目。相性が良いのか九州の合戦シーンばかりなのにサクサク読めました。主人公は家久ですが、むしろ4兄弟の絆物語といった印象。父祖の代からの悲願、薩隅日の統一。攻めて守って-兄弟が結束し家運を盛り上げる。原動力は家久。軍神として畏怖されながらも天衣無縫で天真爛漫。揶揄され愛され…。宿命に殉じた家久の心奥に微かな哀愁の匂いを感じます。

2018/03/04

なゆ

戦国時代の九州薩摩・島津家の話が読みたかったので。読みごたえあり。島津四兄弟が力を合わせて三州統一を目指していたのが、上方が騒がしくなるにつれもっと勢力拡大せざるをえなくなる。面白いのが、うつけ者の四男島津家久が驚くべき軍略家で、敵も味方も振り回しながらの意表を突いた戦いぶり。しかし本当は生まれながらの軍神でも、戦いが好きなわけでもなく、そう生きるしかなかった悲哀が悲しい。あの官兵衛との戦談義とその張り詰める空気は意味深。折しも、大河ドラマも秀吉の九州攻めが始まるところ。どんな風に話が進むのか楽しみだ。

2014/08/19

B-Beat

◎この作家さん初読み。1979年生と若い。装丁のイラストも劇画調。見慣れない漢字にはルビが振られており、さしずめ若い方向けの、歴女とか呼ばれる方々を意識した作品かと訝りながら読み進める。私事ながら明らかに話題作「村上海賊の娘」の失望感が脳裏を掠める。しかしながら読み始めて直ぐに「これは読める」という感じが満ちる。戦国時代の群雄割拠の九州にあって島津氏はいかに戦ったか生き抜いたか。島津義久、義弘、歳久、家久4兄弟の確執や思索。特に四男家久の合戦上手と言われながらも寂寥とした生涯が心に沁みて印象に残る。

2014/06/13

あっこ

素晴らしい本に出会えたと思った。はじめは、「島津の退き口」の豊久の父親かと言う程度の印象だったけど、読み進めるうちに家久の人柄と才能に魅了されていった。軍神とまで呼ばれながら、出生の事で様々な孤独や葛藤を抱える家久と彼に対する様々な思いを秘める兄たちが良く描かれていてとても良かった。最後は、悲しい結末だけど、家久の死を悲しむ兄たちの様子からは、大切な弟を失った悲痛な思いが良く伝わってきた。島津四兄弟はいい兄弟だったと思う。

2014/11/17

けいた@読書中はお静かに

戦国時代末期の島津四兄弟の末弟、島津家久の物語。島津の武将というと、次兄義弘が有名で家久はマイナーな武将だけど、「軍法戦略に妙を得たり」と評される勇将。途中までは和田竜「村上海賊の娘」のような自由奔放奇想天外な人が連戦連勝を重ねる話でしたが、沖田畷の戦いのあとの兄弟との確執、家久の本当の夢、呆気ない最後など終盤になるに連れて切なくなる物語でした。地元加世田もたくさん出てきて大満足。鹿児島の人には是非オススメしたいです。

2016/09/05

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