いきぢごく
いきぢごく / 感想・レビュー
starbro
宇佐美 まこと、「骨を弔う」に続いて2作目です。村山 由佳風の官能ラブサスペンス、一気読みしました。男性読者よりも、女性読者に評判が良いのは、解る気がします。「いきぢごく」というほど、凄絶ではありませんでした。【読メエロ部】
2019/06/28
しんたろー
う~ん…久しぶりに感想が難しい…つまらない訳ではないが「楽しい読書だった?」と聞かれると素直に頷けない。女性の業の凄まじさと男性の愚かさが色濃く描かれているので、宇佐美さんらしい筆致なのだが、気分は好くない。同じように重い『愚者の毒』には社会性や人間ドラマの妙があって唸ったが、本作は身勝手な登場人物だらけで誰にも感情移入できないのが原因だろう。サスペンスの盛り上げや四国遍路の仕組みなど、読んで損することはないが、積極的に勧めたいとは思わない。切れ味鋭かった『角の生えた帽子』のような短編集を書いて欲しい。
2019/05/01
いつでも母さん
「人の本質は憎しみよ。憎しみだけが人を駆り立てる」今作はこの言葉に集約される様な感じ。タイトルは禍々しさも駆り立てるが、この姉妹怖いです。四国・お遍路に詳しい方なら更に読み易いかと思うものの、今迄の宇佐美さんとは違う感じで読み進めて、最後にそう来たか!です。生きてる人間が一番怖い事をここでも思い知らされました。『いきぢごく』生きながら味わう地獄の苦しみだが、人は未だ地獄を生きてはいない。それとも既にこの世は地獄なのだろうか・・
2019/04/10
nobby
うーん、確かに最終章それも残り30頁で予期せぬ驚愕に導く展開はサスガなんだけど、自分の好みとはかけ離れてたかな…何しろ全編に渡って描かれるのは、42才女性の恋にいや肉体に生々しく溺れる様だから…そこに松山の実家で見つけた戦前に記された或る女遍路の日記と重ねる構成には惹かれながらも、女の性をひたすら語るべく交錯するのみなのが残念…それでも、何かあると気になっていた事柄は見事に拾っていく様には溜息つくばかり!終盤にかけては、もう現状振り返る度に感じ入るのはもう『いきぢこく』でしかない…とにかく読了して疲れた…
2019/05/12
utinopoti27
友人と旅行代理店を経営する42歳の鞠子は、若い恋人がいながら、かつて義兄と過ごした禁断の夜が忘れられないでいる。そんな折、父から相続した遍路宿で見つけた四国巡礼の古い旅日記に綴られた遍路女の罪深さに、自らの業を重ねて次第にのめり込む鞠子。そして時空を超えた女たちの情念が一つに重なる時、血生臭い悲劇の幕が開く・・。肉体は心の檻だ。とろける肉欲に抗えば抗うほど、心はがんじがらめに絡めとられてゆく。作者渾身の筆さばきが冴え渡る、背徳の官能世界に彩られた転落と再生のホラー『いきぢごく』。げに恐ろしきは女人なり。
2019/07/06
感想・レビューをもっと見る