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おいしくて泣くとき

おいしくて泣くとき

おいしくて泣くとき

作家
森沢明夫
出版社
角川春樹事務所
発売日
2020-06-03
ISBN
9784758413503
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おいしくて泣くとき / 感想・レビュー

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ろくせい@やまもとかねよし

安定で安心な利他的思い遣りをもらえた森沢作品。幾分構え読み始めたが、期待を裏切らない最終盤の感涙。子ども食堂を題材に、中学生たちに幸せの意味を探させる。「自分の意思で判断しながら生きる」こと。それが幸せだと登場人物に言わせる。この意思とは、自己ではない外向きベクトルをもち、決して功利を求めない。それが損得や善悪の論理を超え、知らず知らずに後世へ受け継がれていく。未熟な自己の中学生が、ゆらぐ自己形成の中、他者を突き放す批判による明確な区別より、他者に近づき無理ない甘受であいまいな境界を選択させる姿勢に感動。

2021/08/20

鉄之助

森沢作品に はずれなし! 貧しい家庭の子どもに無料の食事を出す大衆食堂が舞台、となれば涙腺がゆるむ条件は十分。色々な伏線が解けて、最後の5ページ、温っかい気持ちがじわりと残った。「子ども食堂」の隠れメニューが「バター醤油の焼うどん」というのも、ニクイ。誰でも思い出の片隅にありそうな、匂いが立ってくる焼うどん。これが出されたら、私でもまさに「おいしくて泣く」、だろうな。感情は嗅覚によって倍増される。他にも読んでいてシーンが頭に浮かぶ場面満載で、この作品も映像化されそうな予感……。

2020/06/24

しんごろ

うわあ、やられた。してやられた。たったひとつのシーンだけで泣けた。なんか読んでて違和感あったんだよ。そういう事だったんだ。奇跡だよ奇跡。感じてた違和感のピースが全部ハマったよ。やられたとしか言いようがない。理不尽な世の中、挫けそうになりながらも、心也と夕花、悔しさや辛いことに耐えて頑張ったよ。石村もそうだね。石村のその後が気になるけど、石村もいい男になってるよ。こんな奇跡な物語は何度再読しても、結果がわかってても間違いなく泣ける。37年の時を経た奇跡。凄い。森沢明夫の作りあげる奇跡は最高である。

2020/11/15

ウッディ

悲しい涙が切ない涙になり、喜びの涙に変わっていく、全編泣きまくりの一冊でした。怪我でサッカー部を辞めた心也と家に居場所のない夕花、幼馴染の二人は学級新聞の担当を押し付けられたことを機に「ヒマ部」を作る。二人の物語が子ども食堂を営むゆり子の物語につながっていくラストが感動的でした。貧困、いじめ、偽善など重いテーマを扱いながらも、ヒマ部の先輩と部長など、ユーモアを交える二人の会話が軽やかで、「先輩命令」として夕花のささやかな願いを叶えようとする心也の優しさと強さが印象的でした。とーっても面白かった。

2020/10/04

ショースケ

読み始めた時、思ってたのと違うなと思ってたら、どんどん話しに入り込んでいった。義理父に虐待されている夕花を助ける為に遠くの海まで連れて行く心也。2人でひま部を作って淡い恋心の新鮮な事!そしてゆり子の話。最後、あーやられた!そうくるかぁと心ほのぼの。いい物語だった。心配していた幸太も良かった。優しい気持ちにさせてくれた。

2021/05/08

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