にほんの詩集 萩原朔太郎詩集
にほんの詩集 萩原朔太郎詩集 / 感想・レビュー
旅するランナー
萩原朔太郎没後80年。大回顧展「萩原朔太郎大全2022」が全国52カ所の文学館や美術館等で開催される。記念映画として「天上の花」も公開される。朔太郎の娘葉子の同名小説の映画化。主演は東出昌大。これは詩集を読んどかなければ。てことで、手に取る。後で、東出は三好達治役だと知るわけだけど。あれ、あれ、あれ、あれ。まあ、よしとしよう。この萎びきった薄命男、寂寥の人が心の奥底から紡ぎ出す数々の詩は、全く古さを感じさせず、切々と伝わってくる。そして、月に吠えるのは何者かを知ることができた幽かな悦びを噛み締めるのだ。
2022/10/03
アナーキー靴下
ハルキ文庫『萩原朔太郎詩集』を底本に抜粋・追加した選詩集とのこと。『月に吠える』は若い頃に読んで以来、強く印象に残っているが、自身の心の在り方によって見え方が大きく変わるようだ。一年半程前に青空文庫で読んだときは、心の内奥を伝達する手段としての詩、と強く感じた。ちょうどその頃夫に、貴方は何に感動するのか、と話をしていて、勝手に私が泣いたことを思い出す。何に感動するかを上手く言葉にできない夫に対して、私が言葉で問いかけを行ってしまったら、私の詩によって夫の心が規定されてしまうのではないかと、怖くなったのだ。
2022/06/25
keroppi
萩原朔太郎というと教科書か何かで読んだ気がするが、ちゃんと読んでいなかった。下北沢に向かう遊歩道に文学碑もあり、この近くに住んでいたこともあるようだ。「蛙」について読んだ詩があることを知り、読んでみた。そこに蛙がいるように感じる詩だ。他にも生物を扱った詩も多い。「くさった蛤」のようにグロテスクで気持ちの悪さを感じるものもあるし、散文「死なない蛸」のように自分で自分を食べつくしそれでも生きているという気味の悪さと存在感を歌ったものもある。こんな感覚を持った詩人だったことをあらためて知った。結構好きである。
2024/01/04
みどり
わたしと11歳離れた夫に「萩原朔太郎の竹って、国語の教科書にあった?」と訊いたら、たぶんなかったよとのこと。なんでわたしこの詩を知ってるんだろう。教科書改訂されたのかな?この詩は、音が良くて、爽やかで冷たい空気が頬を撫でるみたいで、一番好きなんだよねという話をした。たぶんEテレの「にほんごであそぼ」で聞いたんだろうな。幼少期の記憶ってすごい。そのときは全くありがたみがわかってなかったけど、野村萬斎さんが恭しく読んでくれてたんだもんな。そして、装丁が美しいので自分用に買おうかな。
2023/02/18
葉鳥
正直なところほとんどの詩が難しく、目が滑ってしまうものも多い。しかし、数読むにつれてこの詩を書いた作者がどんな背景にあったのかと思いを馳せるくらいには興味が持てた。『こころ』と『広瀬川』が印象に残る。
2022/08/27
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