茜唄(上)
茜唄(上) / 感想・レビュー
W-G
あえて寝かせておいて、自分に焦らしプレイを仕掛けてみた。ついに解禁!となったら当然のごとく一気読み。大河の影響で一時期やたらとこの時代の本が出版されていたが、以前に読んだ天野純希『猛き朝日』と、人物や出来事の解釈が酷似しており、まるで同じ作品世界の視点人物を入れ替えたようだ。平家側から語られる本作は、どうしても滅びの美学を描くものになりそうだが、それゆえ、上巻にて瑞々しい若さの発散や、窮地に至って深まる一門の絆などが、いかに眩く活写されているかが重要であり、見事に期待値以上のものは見せてもらえたといえる。
2023/06/03
starbro
今村 翔吾は、新作中心に読んでいる作家です。平家物語は何作か読んでいますが、平知盛が主人公の小説は初読となります。 平家物語にしては爽やかな印象、続いて下巻を直ぐに読みたいですが、図書館の配本の関係で読めるのは、明後日になりそうです。トータルの感想は下巻読了後に。 http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=6954
2023/05/10
パトラッシュ
日本人は源平合戦の歴史を平家物語から学ぶ。源氏や平氏を問わず多くの人びとが懸命に生き抜く姿を千年以上も疑わなかったため、ある重大な事実を忘れていた。なぜ勝者たる頼朝主導の歴史が書かれず、敗者の名を冠した民間の語り本が紡ぐ歴史が広まったのか。そこには父清盛から受け継いだ想いを実現すべく知略の限りを尽くす最愛の息子知盛と、彼を信じ支えた妻の希子と甥の教経の書かれざるドラマがひそんでいた。琵琶語りの平家物語の成立秘史と知盛を中心とした群像劇の思いがけぬ裏を描くエンタメの粋に、読者は息を吞むばかりなのだ。(続く)
2023/04/10
海猫
上下巻ということで構えて読み始めたものの、すぐに人物に気持ちが入って読み進むことができた。今村翔吾の単行本は分量が多いがこういう感じで読みやすい。内容は今村版「平家物語」。とはいってもこれまで平家物語を通して読んだことはない。しかし大河ドラマの「鎌倉殿の13人」を観ていたのでイメージはしやすかった。あのドラマの対局の立場になって歴史や物事を見ればこうなるのか!という興味もあった。毎章の最初に「平家物語」の語りの場面が入るがこれが意味深。戦記ものであり、家族の物語であるのはわかるが最終的にどう結実するのか?
2023/06/21
旅するランナー
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。平清盛の四男、知盛を主人公とした、シン平家物語。歌舞伎の碇知盛のイメージが強いのですけど、この小説ではスマートな知将、優しい夫、頼もしい父です。こんな傑物がいるのに、平家はやはり滅び行く運命なのか? 下巻が楽しみです。
2023/07/21
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