ダンディな食卓 (グルメ文庫 よ 2-1)
ダンディな食卓 (グルメ文庫 よ 2-1) / 感想・レビュー
ホークス
吉行淳之介氏のエッセイは、斜に構えた感じがダンディである。本書は夕刊連載の短文が中心で、オチをつけようと色々苦心していて微笑ましい。忙しく走り回ったり怒鳴り声を上げる吉行淳之介など中々見られないし、そんな自分を恥ずかしがる所が可愛い。各題名の食べ物は「お題」みたいなもので、話は色んな方向に飛ぶ。下ネタはサラリとしつつ意外に露骨。やや長い「九百九拾円の放蕩」は安価な風俗店の探訪記だが、驚くほど詳細で1970年代の世の中がよく見える。新宿の「やきとりキャバレー」が名前そのまま過ぎてびっくりした。
2019/03/26
佐島楓
食をテーマに書かれたエッセイ集。ほとんどが再読の感触だったけれど、やはりこの方の文章には安定感といつもニヤリと笑ってらっしゃるようなところがあるな、と思った。
2014/12/18
お萩
安いコロッケも美味いよねって話で「私が問題にしているのは『コロッケ』のことで、その食通のいうのは『クロケット』とでもいうものか。〜だから食通は困る。」に拍手を送りたい。食通ぶってる男なんてろくなもんじゃない。
2016/07/18
ロウ
私が酒呑みだったなら上手い話に酒がすすむ、などと言うのだが生憎酒はほとんど飲めないので、ただ面白いとしか言えない。食欲が増すことは必須。時代が少し古く感じるところは有るが、人間の持つ欲や見栄の本質は変わらない。人間観察が見事で、一緒にテーブルを囲んで作者と飲んでいるような感覚に陥る。「そういえば昨日ね、」と語りかけてくる感じ。それが心地いい。
2012/05/20
チカ
タイトルは微妙だが、吉行淳之介の人生を楽しむ感じが伝わる一冊。今の小説家の私生活はよく知らないが、この時代の人のアソビの感覚は今は途切れてしまっているように感じる。仕事っぷりもすごいが、多くの人と交流し、それを通じて自分というものを表現し、読ませていく。読者の共感と尊敬と憧れとをうまくバランスをとって書いていくのは、やはりダンディと言ってしかるべきか。
2010/03/01
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