悪女という種族 (ハルキ文庫 よ 6-1)
悪女という種族 (ハルキ文庫 よ 6-1) / 感想・レビュー
佐島楓
全九編の短編を収録。「水族館にて」「不意の出来事」は既読。「曲った背中」が印象的だった。戦後、「私」がある男から聞かされた、その妻の話。戦中の混乱の中、美しい妻は・・・。フィクションであると思いたいが、そうでもないかもしれない、と思わせられる壮絶さ。こういう作品を読むと、戦中戦後と現在は地続きなのだと実感できる。
2013/05/18
kankoto
時々吉行淳之介が無性に読みたくなり、電車のお供につい買ってしまった。9作の内3編が既読。こういう男女のかかわりに自分はまったく無縁であるけれど読んでいるといつも感心してしまう。女の人達に狡さと強さを感じてしまう。駆け引きであったり相手を試すことだったり。そしてそれをお互いに楽しんでいるような…。
2012/03/11
コノヒト
それぞれ単独で発表された短編小説なのだけど、“つながり”が見られて面白い。連想式しりとり式な配列になっているのかと思った。悪女たちも男たちもギラギラケバケバしていなくて比較的おとなしめ。淡々と静かな語り口で大変読みやすい。
2015/03/18
うずまきねこ
夕焼の色/水族館にて/ある情事/がらんどう/探す/不意の出来事/曲った背中/赤い歳月/寝たままの男:「悪女」の定義は確かに難しい。持ち前の奔放さが原因になるかもしれないし、男に対する執着に起因することもあるかもしれない。しかしどれもこれもこれらの作品の中では男が翻弄される。吉行の他作品にも似たプロットが見られることもあり、「男と女の関係」は彼の中では大きな意味を持つものといえる。印象的な「ある情事」はあまりにも救済がなく、ただただ不愉快な読後感が残る。しかし、やはり「悪」としての判別は難しい。
2015/01/28
Holden Caulfield
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