出世花 (ハルキ文庫 た 19-6 時代小説文庫)
出世花 (ハルキ文庫 た 19-6 時代小説文庫) / 感想・レビュー
た〜
人の死と真摯に向き合うお縁、彼女を取り巻く人々のそれぞれの情念の深い味わい。ちょっとしたミステリーが絶妙の薬味となっている。死者を送るという役割を描いた作品であるため、希望に向かうといった展望ではないであろうが、最後まで見届けたい作品です。
2012/06/14
hiro
みをつくし料理帖シリーズや銀二貫と同じく、親と死別した主人公が心優しい人たちに囲まれて成長していく、高田さんのデビュー作。デビュー作から高田さんの世界はきっちり確立されていた。この作品も主人公縁が菓子商「桜花堂」の養女になり、商人として店を発展させる物語かと思ったが、縁が三昧聖として生きていく決心をする展開には驚いた。あとがきにあるようにシリーズ化も期待できそうだし、そのための伏線も張られているようなので、今までの高田作品にない同心の窪田や新藤と正縁が事件を解決するような話も期待できそうなので、楽しみだ。
2012/09/01
文庫フリーク@灯れ松明の火
『蓮花の契り』読むため新装版にて再読。記憶に残っていたのは、その容貌から化け物扱いされた岩吉の不器用で純な心根と、出家した正念が母を想う心情。参考文献は1冊しか記されていないけれど、高田郁さんがどれだけ丹念に下調べされたか再読で解るデビュー作。折しも蛍が舞うこの時期、再読できたのも「縁」有ってのことでしょう。田舎に住む私でも、襖や障子で遮られた別室で施される湯灌は(家族でさえ)目にする事はない。仕事上、エンゼルケアの経験からすれば?の点もあるけれど、真摯な姿勢はデビュー作からも十二分に感じられる。→続
2015/06/15
もんらっしぇ
なにを隠そう高田郁作品の中でも特にMy Favoliteな一冊です。いや、えらそーに別に隠さなくたっていいんですがw 現代で云うところの「おくりびと」でしょうか。江戸時代の納棺師の物語。想像をめぐらせてみればただでさえ生きていくのに過酷な時代。その中でお縁の人生はどんだけ苛烈なものだったか。不覚にも涙を禁じえませんでした。これが作家デビュー作とは到底思えない、「みをつくし」とは別の意味で作者の力量が遺憾なく発揮された秀逸な一冊。もちろん続編もお勧め。(蛇足ながら祥伝社版のカバーイラストもまた素敵です)
AKIKO-WILL
澪つくしシリーズを借りたかったのですが、なかなか借りられずふと手に取った他の髙田郁さんの本。こちらも非常に面白く読ませてもらいました。湯磁場っていうのをこの本を読み、知りました。不遇の少女お艶(お縁)が湯磁場で逞しく成長していく姿は読んでいて勇気づけられました。正真、正念と毛坊主と出てくる人もまた優しくて、澪つくしシリーズとはまた違う意味でハマりました。
2015/11/07
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