霊は語りかける―実録怪談集 (ハルキ・ホラー文庫 ひ)
霊は語りかける―実録怪談集 (ハルキ・ホラー文庫 ひ) / 感想・レビュー
夢追人009
実録怪談集の11冊目は百話も数はありませんが、常に安定した面白さとクオリティーで安心して読めますね。本書は八年前の本で題名の「霊は」と今の元号「令和」が重なるのは偶然の一致なのですが面白いなと思いましたね。この本が出る前年に起きた東日本大震災の話が幾つかあって特に私の心を捕えて離さない一編を紹介しますね。被災地で瓦礫撤去の手伝いをしていたボランティアさんからうかがったお話。一日の作業を終えて明日の予定を打ち合わせていた所へ小学校四、五年生ぐらいの男の子が現れ「ぼく、もっと生きたかったんだ」と言って消えた。
2020/07/19
HANA
やはり今までのシリーズのように、著者の人柄のせいか怖くはない。ただ震災関連を始めとして死者の想いをくみとるような優しい話が、この巻は特に多かったように思う。死者の声に耳を傾けるというのは畏れのなくなりつつある現代において大事なことではないか、とその様な事を考えつつ読み進めた。ある意味、怪談の原点に触れるような内容だと思う。前書きとかによると話を集めるのに苦労されているみたいだけど、この独自のスタンスをこれからも保って行ってもらいたいものである。
2012/10/19
chatnoir
震災のお話も増えてきた。きっと、タイトルの所以になった話と思うけど、震災の土地で「僕、もっと生きたかったんだ」って言う幽霊がすごく切ない。タイトルは引き継いでいないけど、シリーズ11巻目。やっぱり震災の土地で、体を洗いたかったり、洗濯をしたかったりする幽霊も切ない。行き先が決まるまで、どうぞ使ってくださいと言える人の気持ちが優しくてほんわかする。自分だったらきっと怖がってしまう。
2016/02/14
ラルル
タイトル、表紙、中身共々、原点な一冊でした。パンチの強い話は無いんですが、忘れかけてたそもそもの怪談がこれにはあるように思います。中でも「風の少女」はとても素敵。ご夫婦の優しさが心にほんのり温かく、そして少女の切なさをじんわり感じるお話でした。
2012/09/13
あられ
百話集まらなかったとのことだが、それでもこれだけの数が集まるのはすごいことだ。震災にまつわる話がぐっときた。これからも集まるのではないだろうか。来年も出ますように。
2012/07/20
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