史記 武帝紀 5 (ハルキ文庫 き 3-20)
史記 武帝紀 5 (ハルキ文庫 き 3-20) / 感想・レビュー
W-G
見所いっぱいの五巻。先のない戦に挑み、降伏し、狐鹿姑や頭屠との絆、そして帝が降した族滅という決断に、心が引き裂かれ、匈奴の将軍として生きる道を選んだ李陵。腐に処されて俄然不気味になった司馬遷。ここに来て、ゆくゆく物語を締め括っていくのであろう者たちが、切々と描かれる。しかし、その二名を凌駕する勢いで、蘇武の、北の地での暮らしが圧巻。ここまで大きな存在になってくるとは。蘇武と李陵の再会が楽しみすぎる。帝はマイペースに狂乱のピークに達しているが、たまに見せる鋭さが恐ろしい。後二巻、どういう纏まり方をするのか。
2018/11/19
ehirano1
#側近が帝を暗愚にする。#帝は天になろうとする。#忠義は帝のためではなく自分のため。#自らの名誉を守るのは、弁明ではなく、何を成したか。#正論は時として理不尽。#司馬遷、言葉を選ばなかったが故についに・・・そして千年を生き残る書が誕生。#蘇武、極寒の地を生き抜き、一匹の狼を相棒にする。#空が割れるほどの寒さとは?#記録ではなく記述。#忘れたと思い定めるのは、忘れられないということである。これが弱さかもしれない。
2019/02/02
優希
李陵、蘇武、司馬遷が物語の中心人物に据えられていきます。それぞれが置かれた場所で生き方を決めていきながらも運命の歯車に飲み込まれるように感じました。劉徹はどんどん暴君と化していきますね。ただ、劉徹が独裁力をつけたというより、周囲によりその権力の絶対性を強めて行ったのだと思います。蘇武の生きるか死ぬかの瀬戸際での越冬の力に圧倒されました。様々な場所で見せる生き様はどんどん佳境に入ってきたようです。
2015/02/10
Kircheis
★★★★☆ 李陵、蘇武、司馬遷らそれぞれに困難が降りかかる。 その全てが、暴君化した武帝のせいというのが悲しい。 ここに来て蘇武が一番のお気に入りキャラに格上げ。この強い信念には頭が下がる。
2018/03/05
シュラフ
匈奴の地に留め置かれることとなった李陵と蘇武のふたり。竹馬の友だったふたりが、別々といえども匈奴に地に暮らすこととなったというのはなんたる偶然か。匈奴の捕虜となった李陵が、その寝返りを疑われて一族死刑となったため、匈奴についたというのは中島敦の『李陵』にも書かれている。一方、不運にも北方に追いやられてしまった蘇武のサバイバルには引きつけられる。長安の都ぐらしをしてきた人間でも生きるためにはここまでたくましくなれるものなのか。生きるためには動物を殺して、その生肉を喰らうなんて、わたしには自信がない。
2017/05/20
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