カ-ド・ウォッチャ- (ハルキ文庫 い 18-1)
カ-ド・ウォッチャ- (ハルキ文庫 い 18-1) / 感想・レビュー
NAO
へえ、今回はまじめな職業人の話なんだ。あの石持浅海が? ミステリーじゃないんだ、と読んでいたら、話はどんどん怪しげな方へ・・・。 過酷ともいえる労働状態。そういった日々の中で、それが当たり前のことだと思い込まされて働いていた研究員たち。そこに突然やって来ることになった労働基準監督署の監督官。その訪問を知らされた時、研究所で働く十二人の心の中に渦巻くさまざまな思い。こういうミステリもあるんだ、と妙に感心させられた。何だって、ミステリになり得る。
2020/10/03
ジンベエ親分
「8月の魔法使い」と同じく会社が舞台のクローズドサークル倒叙+犯人当て推理小説。訳分からんでしょ(笑) でも類型化するとそういう表現になる。社員の業務中のケガが原因となって労働基準監督署の臨検が入ることになった当日、社内で社員の死体が見つかって… 臨検の間だけ、その事実を隠そうとした総務課員と監督官の行き詰まる攻防、というより防戦一方なのだが。そして後半の意外な展開。面白い!監督官の北川と技官の介良のキャラが立っていて、シリーズ化を期待してしまう。でも、マルサとかマジにこういうスーパー優秀な人、いるなぁ。
2018/02/04
へいっち(ت)♪
サービス残業は当たり前…そんな研究所でイスが壊れて手を怪我する下村。小さな出来事であったが、突然労災で臨検の立入検査がやって来ることに。対応準備に慌てるなか、今度は倉庫で死体が・・・これは過労死!?検査が終わるまで隠し通せるか!?こんなテーマの作品も面白いですね。あっさり読めて意外なラスト!
2015/05/05
left7
今作も石持さんらしさが全開でした。よくこんなに色々な意味での閉鎖状況を作れると毎回感心してしまいます。すっかり石持さんの作品のファンになってしまっていますが、これから石持さんの作品を読み始める方がいらっしゃるようでしたら、最初に読まれる作品は「扉は閉ざされたまま」などご自分に合いそうな作品を吟味されてから選ばれたほうがいいと思います。
2015/11/20
JACK
◎ 労災を描くサスペンス。株式会社塚原ゴムでの労災隠しとサービス残業の常態化が労働基準監督署に訴えられ、労基署は塚原ゴムに臨検を行う事に。臨検直前の混乱の中、塚原ゴムの小野と米田は倉庫で八尾が死んでいるのを見つける。一番残業している八尾が過労死したと判断した二人は彼の死を隠して臨検をやり過ごそうとする。労災隠しもサービス残業も認めるが、八尾の過労死だけは隠したい。果たして労基署の担当者二人からこの事実を隠し通す事が出来るのか。労基署の北川の切れ者ぶりが素晴らしい。石持さんの作品らしく論理的な推理が面白い。
2018/02/18
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